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野山の植物散策【4】

野山の植物散策も今回で4回目。
前回の投稿は新緑が眩しい季節でしたが、あれから1ヶ月以上経過して野山はすっかり緑が色濃くなりました。
そんな初夏の頃に野山で出会った植物について紹介します。

※写真の時期や場所はバラバラです。

ウツギ: アジサイ科(APG分類体系)

初夏になると山野のあちこちでたくさんの白い花を咲かせているのでよく目立ちます。
花をよく見ると雄しべの元の方が個性的な形をしていますよ。

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山へ行けば普通に見られる身近な低木です。

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ヤブタビラコ: キク科

キク科には、黄色の花びらがたくさんあるタンポポみたいな花を咲かせる仲間が多いので、花だけで種類を見分けるのはなかなか難しいです。
このヤブタビラコもその一つ。
山の入り口の木陰など湿った場所で見られます。

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葉っぱはこんな感じで根本に集まっています。

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イワニガナ(ジシバリ): キク科

こちらもタンポポによく似た花が咲きますが、葉っぱが丸いのが特徴。
葉がヘラ状のものはオオジシバリという別の種類になります。
イワニガナが標準和名になっていますが、※別名のシジバリで覚えた人も多いはず。
庭にも生えるので雑草扱いされますが、実は山の日当たりの良い場所でも見られる野草です。

※別名の方が知名度が高い植物は他にも、ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)などがあります。

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下の写真 ↓ はオオジシバリの葉(ヘラ状で長い)

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マムシグサ: サトイモ科

茎の模様や花の形、ヘビの出そうな湿った場所に生える点などがマムシを連想させるのでこの名前が付きました。
そういえば子供の頃、この植物を見ると何となく怖かったです。
秋になると赤い実がトウモロコシのように付くのでよく目立ちますが、見た目の通り全体に毒があるのでむやみに触ったり食べないでくださいね。

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花の色が緑のものにも出会いました。

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下は葉が展開する前の写真。
茎のまだら模様がマムシを思い起こさせます。

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コバノガマズミ: ガマズミ科(APG分類体系)

ガマズミの仲間は花も可愛いですが、秋には赤い実がなるので庭木として人気があります。
里山に多く見られる樹木です。

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ムラサキサギゴケ: サギゴケ科(※APG4分類体系)

田んぼの畦などの日当たりの良い湿った場所に生えます。
今回山で見たものは田んぼで見るものとは何となく雰囲気が違うような気がしました。
調べてみると、山に生えて毛(腺毛)の多いものをヤマサギゴケと呼んで区別することもあるそうです。

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ジュウニヒトエ: シソ科

なんとも雅な名前のこの植物は、たくさんの花が重なって咲く様子がまるで平安時代の女官の正装「十二単」のようだ。ということから命名されたようです。
ジュウニヒトエと聞くと色鮮やかなイメージがありますが、実物は長襦袢のような色合いの花です。
園芸植物には近縁のアジュガ(セイヨウジュウニヒトエ)という種類がありそちらは濃い紫の花色をしています。

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オドリコソウ: シソ科

オドリコソウと聞くと、春先に花を咲かせるヒメオドリコソウを思い浮かべる人が多いと思いますが、本家はこちら。
花の形や付き方が、笠をかぶって輪になって踊る踊り子のように見えることから「踊子草」。
うまく写真が撮れなかったのですが、花の正面から見ると本当に「笠をかぶった踊り子」に見えます。

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僕の住んでいる地域ではすべてこの色の花なので、オドリコソウ=白い花 だと思っていましたが、ヒメオドリコソウのような薄ピンク色のものもあって、地域によって分布が偏っているそうです。

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ラショウモンカズラ: シソ科

前回紹介したラショウモンカズラを別の場所でも見かけました。
こちらはあまり日当たりがよくないせいか、花数も少なく淡い色合いで清楚な感じでした。
上の ジュウニヒトエ や オドリコソウ と同じシソ科なので、花のつくりが似ています。

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下の写真は、名前にある「カズラ=つる」が伸びた様子です。

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ウワバミソウ: イラクサ科

和名のウワバミは大蛇の古い呼び名で、ヘビが出そうな湿った場所に生えることから名前が付いたそうです。
東北地方では「ミズ」と呼ばれる有名な山菜で、クセが少なくどんな料理にも合うそうですが、僕の住んでいる地域ではあまり食用にする習慣がなく食べたことがありません。
秋に葉の付け根にできるムカゴも食用になるそうです。

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地味な花ですが、雄花と雌花があります。
長い柄があるので写真は雄花。

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クリンソウ: サクラソウ科

前回も紹介したクリンソウが開花していました。
今、全国的に鹿が増えていて、色んな植物が鹿に食べつくされてしまうことが問題になっていますが、このクリンソウは鹿にとっては毒なので食害にほとんどあわないのだそうです。

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日当たりがよくて水の流れる場所が大好きです。

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ヒゴクサ: カヤツリグサ科

スゲの仲間はどれも似たような姿をしているので見分けが困難なのですが、このヒゴクサは雄しべがトウモロコシのヒゲのように長くなるのが特徴です。※ちなみにトウモロコシのヒゲはめしべです

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ミヤマハコベ: ナデシコ科

ハコベの仲間で、花はずっと大きくて目立ちます。
山の沢沿いなどの水気の多い場所に生えますが、花が咲いていないとなかなかみつけられません。
ハコベの仲間も似た種類が多く見分けるのが大変です。

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ミズキ: ミズキ科

街路樹でよく見かけるハナミズキの仲間です。
でもこちらには花びらのようなガクがないので、花の印象はだいぶ違いますね。
木に雪が積もったように一斉に白い花が咲くので、遠目にもよく目立ちます。

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今回も、最後までお付き合いいただき ありがとうございました。

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