見出し画像

野山の植物散策【7】

 気がつけばもう9月。あちこちで秋の花が咲くようになりました。
でも、気持ちが季節に追いついていかないんです。だって写真を撮ったまま記事にできていない植物がたくさんあるから;
ということで、引き続き初夏から夏にかけてみかけた野草の紹介になります。季節感のない記事になってしまいすみません;

 ※写真の時期や場所はバラバラです。 


オカトラノオ: サクラソウ科

 名前の由来は、日当たりのよい丘に多く、長い花穂がトラのしっぽ(尾)を連想させることから。
白い花が一斉に咲いた様子はとても見栄えがします。

画像7

画像7

画像8


 ↓ こちらは、よく似た仲間のヌマトラノオ
湿地に多いので「オカ」に対して「ヌマ」という名前が付いています。
全体的にこぶりでやさしい感じ。花穂はまっすぐ上に伸びます。

画像9

※ 花が穂状に長く密集して咲くタイプの植物には ○○トラノオ という名前が多いので、色んな科に○○トラノオという名前の植物が存在します。
例: カクトラノオ(シソ科)、イブキトラノオ(タデ科)、ヤマトラノオ(オオバコ科)…

こんな感じで、名前のせいで同じ仲間だと勘違いしたり、誤ったイメージを持ってしまったことも割とよくあります😅


ヤマホタルブクロ: キキョウ科

 ホタルブクロの名前の由来には、昔の子どもがこの袋のような花の中に蛍を入れて遊んだからという説と、花の形が火垂(ほたる・・・提灯の古い呼び名)のようだからという説があるようです。

画像4

画像7

細かい話ですが、
下の写真のように萼片の谷間の部分が盛り上がっているだけのものは変種の「ヤマホタルブクロ」、谷間の部分にも小さな萼片があって反り返っているものが「ホタルブクロ」になります。

ヤマホタルブクロ2

※ ホタルブクロ 出典:  松江の花図鑑


シオデ: サルトリイバラ科(APG分類体系)

 山野の日当たりのよい場所に生える植物で、周りの草木に巻きひげを絡ませながら茎をつる状に伸ばします。
若芽は山菜として利用され、食感がアスパラガスのようなので「山のアスパラガス」とも呼ばれているそうです(僕は食べたことがありません)

画像8

画像9


木苺(ラズベリー)の仲間: バラ科

初夏になると、野山の日当たりのよい林縁や荒れ地などで木苺が果実を付けているのを目にするようになります。
どれも食用になりますが美味しさには違いがあります。
そんな木苺を4種類まとめて紹介します(花は撮ってありません;)

ニガイチゴ: バラ科

 僕の住んでいる地域では一番よく目にする種類で枝にはトゲがあります。
幹や枝が粉白色になるので覚えると見分けが付きます。
果実は上向きに赤く色づきとても美しいですが、種にすこし苦味があるので他の木苺と比べると美味しさは今ひとつかもしれないです。
それでも、子供の頃はこのイチゴと下のモミジイチゴの果実をよく食べた思い出があります。

画像10

画像11

画像12

画像13


モミジイチゴ: バラ科

 葉に切れ込みが多く3~5裂するのでモミジイチゴの名前があります。
木のサイズやトゲの付き方などはニガイチゴにも似た雰囲気ですが、果実は黄からオレンジ色で下向きに付きます。
上品な甘みのある果実は美味しく、日本の木苺の仲間では一番人気があるようです。

画像15

画像16

画像14


クマイチゴ: バラ科

 大型の木苺で、葉の形はモミジイチゴのように3~5裂しますがサイズはるかに大きく質感も異なります。
赤紫色の茎にはトゲが多いのであまり触りたくないです。
赤い果実は上の2種類よりも一回り大きく、イチゴの粒(核果)は涙型で密着しているので、他の木苺よりも一体感があります。
食べたことがないのですが、爽やかな酸味があって美味しいそうです。

画像17


エビガライチゴ: バラ科

 茎や枝はつる状に伸び、赤紫色の腺毛がびっしり生えていて細かいトゲもあります。
その見た目がエビの殻のようだということでこの名前が付いたみたいです。(個人的にはエビよりも毛ガニの方がしっくりきます)
葉の付き方も上の種類とは異なり小葉が複数つくタイプ(羽状複葉)です。
赤い果実は酸味があってかなり美味しいそうです(これも食べたことがない)

画像18



アカショウマ: ユキノシタ科

 山地の明るい林内や林縁に自生し、初夏に白くて細かい花が咲くと遠目からもよく目立ちます。似た種類にトリアシショウマなどがあります。

画像19

画像20

画像21

※ 名前に○○ショウマと入る植物も、科をまたいで多く存在しているので混乱のもとになっていますが、
 1.穂状で「トラノオ」よりも細かく白い花をたくさん咲かせる植物
 2.葉が羽状複葉で根茎のある草本植物
のいずれかの共通点があるようです。
詳細は ↓ のリンク先を御覧ください。

ショウマ (植物の名)  
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


チダケサシ: ユキノシタ科

 上のアカショウマの仲間ですが、こちらは湿地のような湿った場所で見られ、花色も薄っすらピンク色をしています。
名前の由来は、キノコのチチタケ(乳茸・・・チタケ)をこの植物の茎に刺して山から持ち帰ったことによる。とありますが、正直あまり信憑性がないような・・・🤔

画像22

画像23


シモツケ: バラ科

 山地の日当たりのよい場所で、初夏に紅色の細かい花を咲かせる落葉低木。
あまり大きくならず、花もきれいなので庭などにもよく植えられています。
変わった名前ですが、下野の国(しもつけのくに・・・今の栃木県)にちなんだ名前だそうです。

画像25


テリハノイバラ: バラ科

 河原や草地、野山でみられるつる性のバラで、よく見ると可愛い花です。
漢字で照葉野茨と書くとおり、よく似たノイバラの葉には光沢がないのに対して葉に光沢があります。
花期もノイバラより1ヶ月ほど遅い6~7月。

画像25


オトコエシ: スイカズラ科(APG分類体系)

 日当たりのよい山野でよく見かけます。
個人的にはこの花が咲くと夏が来た感じがありますね。
秋の七草の女郎花(オミナエシ)と名前が似ていますが、これは姿形の似ている両者を男女に見立てたことに由来します。
細かい白花のオトコエシも、よく見るとなかなか可愛い花だと思いました。

画像26

画像27

画像28



今回も、最後までお付き合いいただき ありがとうございました。

もしよろしければ前の記事もどうぞ。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?