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イメージの百人一首3「あしびきの―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第3首】
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
《あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん》

 今は、秋の夜です。これから寝ようとしていると、鳥の声が聞こえます。どうやら山鳥よう。山鳥はキジの仲間で、尾は長く垂れさがっています。その垂れさがった尾のように長い長い秋の夜に、あなたのそばには誰もいません。あなたは、一人で今夜を過ごさなければいけないのです。

 また山鳥の声が聞こえます。山鳥は、夜眠る時、オスとメスが別々になるそうです。あの山鳥も、伴侶を恋しがって鳴いているのでしょうか。そう考えると、あなたの寂しさはますますつのるのでした。

 柿本人麻呂《かきのもとのひとまろ》

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