イメージの百人一首4「田子の浦に―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第4首】
田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
《たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきはふりつつ》

 あなたの目の前に真っ青な海があります。あなたは今、田子の浦という、静岡県の海岸にいます。そこに出て見たあなたは、見晴るかす海の彼方に、富士の山をとらえます。日本一の山です。雄大な富士のその高い高い峰は、純白の布をかぶっているように見えます。
 
 あなたの心は、一瞬のうちに、富士の山の上へと飛びます。そうして、そこから、富士を見下ろします。峰にしんしんと舞い落りる無数の白いかけら。富士の山頂に雪がしきりに降る様子が、あなたの心の目に映ります。

 山部赤人《やまべのあかひと》

→第1首へ

→第3首へ

→第5首へ

読んでくださってありがとう。もしもこの記事に何かしら感じることがあったら、それをご自分でさらに突きつめてみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。いただいたサポートはありがたく頂戴します。