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イメージの百人一首44「逢ふことの―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第44首】
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
《あうことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし》

 あなたには、大好きな恋人がいます。しかし、その人とは、稀にしか会うことができません。会っているときは、この上ないほど幸せですが、会えないときは、寂しくてどうにかなってしまいそうです。そうして、会いたいときに会ってくれない恋人の冷たさを恨んだり、そういう状況にいる我が身の運命を悲しく思ったりします。

 そのあまりの苦しさに、いっそ全く会えなかったら、思い切りもついて、こんな風に悲嘆に暮れることはないのにと、どうしてもあなたはそう思ってしまいます。

 中納言朝忠《ちゅうなごんあさただ》

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