第20首 露と紅葉と
※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。
【第20首】
むら時雨 はれつる跡の 山風に 露よりもろき 峰の紅葉ば
《むらしぐれ はれつるあとの やまかぜに つゆよりもろき みねのもみじば》
(新千載和歌集/二条為冬《にじょうためふゆ》)
【イメージ】
ぱらぱらと降る雨が、通り過ぎていく。
晴れ渡った空へ向けて、山中を風が吹く。
草木に落ちた露が一斉に払われるが、
峰の紅葉が散るさまは、露よりもなおはかない。
【ちょこっと古語解説】
○むら時雨《しぐれ》……ひとしきり降って、通り過ぎて行く時雨。時雨は、晩秋から初冬にかけて降る雨のこと。
○つる……元の形は「つ」で、完了を表す助動詞。「~した・~してしまった」ほどの訳。
○もろき……元の形は「もろし」で、「こわれやすい」の意。
○峰《みね》……山の頂上のこと。
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