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イメージの百人一首2「春すぎて―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第2首】
春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
《はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま》

【イメージ】 
 あなたの前に、緑の山々が見えます。季節は晩春。桜は散って、いよいよ夏に向かおうとしているところです。その山の一つに白いものが見えます。あの山は、香具山。いったい何だろうか、と目を凝らすようにすると、それで見えたわけでもありませんが、どうやら衣のようだと気がつきます。

 夏になると美しい香具山に白い衣が干されるのです。まだもう少しは春を楽しめると思っていたところ、春はどうやらもう過ぎていた様子。夏が来ていたらしい、とあなたは気がつくのでした。

 持統天皇《じとうてんのう》

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