第3首 夢を破る雨
※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。
【第3首】
きくたびに おどろかされて ねぬる夜の 夢をはかなみ ふる時雨かな
《きくたびに おどろかされて ねぬるよの ゆめをはかなみ ふるしぐれかな》
(新葉和歌集/後村上天皇《ごむらかみてんのう》)
【イメージ】
時雨の音がする。
降ってはやみ、やんでは降る雨の音。
その音を聞くたびに夢は破れ、目が覚める。
ふとにじんだ涙、たよりない夢に寂しさがあふれたのか。
【ちょこっと古語解説】
○おどろかさ……元の形は「おどろかす」で、「目を覚まさせる」の意。「驚かせる」という意味ではない。
○ぬる……元の形は「ぬ」で、完了を表す助動詞。「~た・~てしまった」ほどの訳。
○はかなみ……元の形は「はかなむ」で、「むなしく感じる」の意。
○時雨《しぐれ》……晩秋から初冬にかけて、ぱらぱらと降る通り雨。
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