イメージの百人一首56「あらざらむ―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第56首】
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
《あらざらん このよのほかの おもいでに いまひとたびの あうこともがな》

 あなたは今、病の床についています。体は思うように動かず、意識もはっきりとしないことが多くなっています。死期が近づいているのです。あなたの心に浮かぶのは、最愛の人のこと。もう一度だけでいい、あの人に会いたい。あの世がどのようなところか、そもそもあるかないかも分からないけれど、もしもあったら、最期にあの人に会ったことを、あの世を過ごす思い出にしたいとあなたは願います。

 和泉式部《いずみしきぶ》

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