イメージの百人一首57「めぐりあひて―」
※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。
【第57首】
めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな
《めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな》
あなたは久しぶりに幼なじみと再会を果たします。数年ぶりでしょうか、向こうもあなたのことをなつかしんでくれて、ゆっくりと旧交を温めたいと思っていたところ、あちらは忙しく立ち去って行きます。
折しも初秋の夜。雲間からちらりと現われた月が、またすぐに隠れてしまったように、近況を詳しく知ることができないばかりか、顔さえロクに見ることができないうちに、あなたは幼なじみと別れてしまったのでした。
紫式部《むらさきしきぶ》
読んでくださってありがとう。もしもこの記事に何かしら感じることがあったら、それをご自分でさらに突きつめてみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。いただいたサポートはありがたく頂戴します。