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少女とクマとの哲学的対話

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2018年6月の記事一覧

少女とクマとの哲学的対話「フェアプレーの定義」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
カスガ……アイチのクラスメートの男子。

カスガ「僕は本当に情けないと思うよ。昨日の日本代表の試合、あれは一体何なんだ。ワールドカップの舞台で、負けているチームがパス回しをして時間稼ぎをするなんて、こんな珍妙な光景を見ることになるなんて思わなかったよ。本当にヒドイ話じゃないか。……君はど

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少女とクマとの哲学的対話「老害を排除してクリーンな社会に」

少女とクマとの哲学的対話「老害を排除してクリーンな社会に」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
老人……古稀を越した男性。

老人「全くもって嘆かわしい世の中だ。年を取っているというだけで、バカにされ、疎外されるとは。今のこの社会を作ったのは誰だと思っているのか。わしらじゃないか。それを忘れてなに不自由なく生きている若者が、ただ若いというだけど、老人をバカにするとは!」
アイチ「そ

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少女とクマとの哲学的対話「ロゴスに従って書け!」

少女とクマとの哲学的対話「ロゴスに従って書け!」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
春日東風……noteを利用している物書き。

春日東風「わたし自身も分かってはいるんです。こんなことを書いていても読まれないってことは。だいたいノートを読もうという人は、自分の得になることを読みたいと思って読むわけです。たとえば、小説やエッセイを読むなら、それを読むことで楽しさや気づきを

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少女とクマとの哲学的対話「ライフハックは、ほどほどに」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

クマ「何読んでるの?」
アイチ「これ? カスガが貸してくれた雑誌だよ」
クマ「どれどれ? 『ライフハック特集――あなたの人生に幸運をもたらす小さな習慣』か。 ……彼、高校生だよね? 本当は社会人なの?」
アイチ「いつでも社会に適応できるように、高校生のうちから、色々と読んでおくんだって

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少女とクマとの哲学的対話「いつまで生きるつもりですか?」

少女とクマとの哲学的対話「いつまで生きるつもりですか?」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

クマ「どうしたの、さえない顔して?」
アイチ「うーん、友だちのことでちょっとね」
クマ「喧嘩でもした?」
アイチ「そういうんじゃないよ。友だちのおじいちゃんがガンで、入院しているのね」
クマ「ふうん」
アイチ「で、家族は告知はしてないんだけど、本人は、なんとなく分かっているみたいで、そ

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少女とクマとの哲学的対話「言葉にするとウソになる」

少女とクマとの哲学的対話「言葉にするとウソになる」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「うーん……」
クマ「何をうなっているの?」
アイチ「どうもよく分からなくて」
クマ「何が?」
アイチ「今日、現代文の授業で、小林秀雄っていう文芸評論家……っていうの? ……その人に関する文章を読んだんだけど」
クマ「へえっ、小林秀雄」
アイチ「知ってる?」
クマ「もちろん、知っ

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少女とクマとの哲学的対話「差別のススメ」

少女とクマとの哲学的対話「差別のススメ」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
カスガ……アイチのクラスメートの男子。

カスガ「ああ、本当に残念だ! あの世紀の物理学者アインシュタインが、人種差別主義者だったなんて! 1920年代にアジアを旅行した際の日記に書いてあったんだよ。特に中国人に対する記述がひどい! あれほど理性的な人が、差別を行うなんて、本当にがっかり

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少女とクマとの哲学的対話「発信力は何のため?」

少女とクマとの哲学的対話「発信力は何のため?」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「ええっと、これかな……あ、これだ、これだ。で、検索してっと……」
クマ「パソコンで何してるの?」
アイチ「うん、友達がnoteっていう文章とか音楽とかを投稿できるサイトに参加して、早速、文章を書いてみたから、読んでほしいって言われてさ。これから読むとこ」
クマ「ふうん。ボクにも

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少女とクマとの哲学的対話「知識より重要なもの」

少女とクマとの哲学的対話「知識より重要なもの」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「ふうっ……」
クマ「何してるんだい?」
アイチ「友達から借りた本を読んでるのよ」
クマ「へえっ、アイチが本? 珍しいね」
アイチ「バカにしないでよ。わたしだって本くらい読むわよ」
クマ「だって、いつもぼおっとしているのが好きだって言ってるじゃないか」
アイチ「……実はね、わたし

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少女とクマとの哲学的対話「主義を持たずに生きていこう」

少女とクマとの哲学的対話「主義を持たずに生きていこう」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「ああ、疲れた……」
クマ「お帰り。今日の学校はどうだった?」
アイチ「サイテーだよ。聞いてよ。隣の席にカスガっていう男子がいるんだけどさ、そいつが、この頃、テツガクにはまってるとかで、休み時間中にずっとその話してくるんだよ。今日なんか、数学の授業が自習でさ、その間も、聞きたくな

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