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形而上エッセイ「分かる人にしか分からない話」

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2018年11月の記事一覧

虚無を抱えて生きる

交通事故のニュースを読んだ。50代の医師が高速道路で、愛車のポルシェを時速200kmという超高速で走行させて、前を走る車に衝突、衝突された車は横転し、その運転手が亡くなったということである。

分別ざかりの年代、 しかも人の命の重要性を認識しているはずの医師という立場の人間が、時速200kmという馬鹿げた速度で危険な走行をしたという点は今は置いておく。このニュースを読んで改めて感じたのは、人には、

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他人の意見を受け入れる前に

わたしはあんまり他人の意見を聞かない。とこう書くと自らしか頼まないような傲岸不遜な人間に思われるかもしれないが、そんなことは無い。尊敬すべき人は素直に尊敬し、自らにできないことをした人は率直にたたえる、実に愛すべき人間である。……まあ、そんなことはどうでもいいのだけれど、どうして他人の意見を聞かないのかと言えば、それは、他人の意見というのが、どうにもうさんくさいからである。「他人の」意見というのは

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生きてるだけで丸儲け

表題は、タレントの明石家さんまさんが言ったとかどうとか、調べたことが無いので知らないが、少し前まではこの言葉があまり好きではなかった。生まれ落ちた以上、死ぬまでは生きるしかないわけで、生きることは損得を超えたところにあると考えていたのである。この考えは基本的に変わらないけれど、それでも、生きているということが興味深いという点では、儲けていると言ってもいいかもしれないと思うようになった。生きていると

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一人きり、考えたり書いたりしているのが好み

人と会いたいという気にならない。そもそもそう社交的ではないということもあるけれど、人と会ってどうするという気がする。ただただ、わずらわしいだけである。人と会うと世界が広がるという人もいるけれど、世界よりも広いのが心だと古人は言ったわけで、それなら自分の心、そこに移りゆくものを眺めているだけでもう十分じゃないだろうか。

そういうわけで、昔は多少友達もいたが、今は全くいない。それで特に寂しさを覚えも

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貧しくてよかったこと

生まれてからこの方、お金に縁がない。縁を結ばずにずーっと来てしまった。先のことは誰にも分からないけれど、これからもおそらくご縁は無いような気がする。と言うと、「可愛そうに、食うや食わずの生活をしているのか、これも何かの縁だ、さあこれでクリームパンでも食べなさい」と施しをしたくなる人もいるかもしれないが、特に拒否はしないので、サポートからどうぞ。そこまで困窮しているわけではないのだけれど、かといって

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歴史を知るということ

歴史が好きで、ちょこちょことそれ系の本を読んだり、動画を見たりしているのだが、歴史というものをあとから自分の好き勝手に解釈して、あのときああすればよかった、こうすべきではなかったと言っている人が、言えると思っている人が多いことに驚く。専門の歴史学者にしてもそうである。

たとえば、昨日、源義経についての動画を見たのだが、義経について、もっと早くに兄の頼朝との対決姿勢を打ち出していればよかったのだと

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他人の無知や思い込みを笑いたくなった時に

あなたの周囲に、物を知らない人、あるいは、間違ったことを正しいと思い込んじゃっている人、いるだろうか。そういう人のことを笑いたくなったことはないだろうか。笑いたくなったとき、ちょこっと立ち止まって考えてみた方がいい。なんとなれば、あなた自身も何かを知らなかったり、思い込んでいたりする可能性があるからである。人の振り見て我が振り直せ。

しかし、直そうとしても、この「無知」や「思い込み」は、定義によ

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