イラ研VSラグビー部の火種
鉄製のドアがいくつも並んだ、モルタルの長屋が二列、同じ大きな屋根の下に向かい合っている。それが学園の部室棟で、間のトンネル部分が以外と明るいのは、屋根の場違いなステンドグラスのおかげであろう。
ラグビー部の部室は、校舎側から見て一番手前にあった。学園のラグビー部には、もう何年も前から正式なコーチがいない。代々、上級生から下級生へ伝えられることが、ルール及び技術指導のすべてだ。顧問教諭は、国語科の老教諭で、公式の試合には顔を出すが、ラグビーを知らない。また、ガラの悪い新入生は、たいてい応援団かラグビー部に引き抜かれていたので、新入部員数は毎年潤沢、弱くても大所帯だ。
夕方のラグビー部部室前は、通り抜けできないほど、一年生がしゃがみ込んでいる。部室は4メートル四方程度の箱部屋で、入室は2・3年生にしか許されないからだ。練習後の1年生は、向かいのイラスト・漫画研究部他、周囲の部からも邪険にされて、傍目にも気の毒ではあった。
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