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おじいちゃんとポケモンと私。人生初映画の記憶。

1993年生まれの私は、いまや全世界の大人気コンテンツのポケモンに育てられたと言っても過言ではない。
ポケモンは1996年生まれだから私の方が3年先輩だ。初めてポケモンのことを知ったのは4歳。これはもう、実質ポケモン黎明期から触れていたので、正にポケモンに育てられたと言っても許されるだろう。

4歳ごろの私は、祖父母の家に預けられている期間が長かった。
ちょうど母が弟を身籠もっており、つわりが酷く、数ヶ月面倒見てくれ!と大して懐いていないであろうに娘を祖父母宅送りにしたらしい。
何とか思い出して見ると、5月頃から夏の間はずっと祖父母と遊んでいた記憶ばかりである。
(確かに夏の間幼稚園行った記憶もなかった。しかも帰って来たら転園することになってて爆笑)

祖父母と初孫の生活が始まる。
この組み合わせ、奇跡と言ってもいいほど大変甘やかされる。
あっという間にじーちゃんばーちゃん大好きっ子の出来上がり。

ただ、元気の有り余っている幼児と高齢者(60過ぎくらいでしたが)で毎日遊びまくるというわけにもいかず、かといってひとり遊びばかりさせる訳にも……のような大人の事情で、たまにお隣さんに預けられ、その家のお兄ちゃんと遊ぶことになる。

ちょうど小学生だったお兄ちゃんの周りではポケモンが大流行していたらしく、小学生男子特有の圧の強いポケモン布教が始まる。
ゲームボーイでポケモンバトルを見せてもらった。ゲームは年齢的にすぐ手に入らなかったけども、しばらく経ってから自分のゲームボーイカラーとピカチュウバージョンを手に入れてルンルンだった。
ポケスペの1巻も一緒に読んだ。面白すぎて出ている分全部祖父母に買ってもらった。お昼も寝る前も沢山読んだ。
他のポケモンのマンガも読んだ。これ本当にピッピ?
お隣のお姉ちゃんのものらしいポケモンのドールハウスでもお兄ちゃんと一緒にこっそり遊ばせもらった。バレないか、ちょっとドキドキしたのを覚えてる。

そしてアニメが夕方からやってるよ、と教えてもらい、見てみることに。

…………
…………  …………
ポケモン って たのしいね!


おめでとうございます、元気なポケモンキッズの誕生です。
(まだ半年しないと生まれぬ弟よりも先に二度目の生を受けようとすな)

そこからは毎日狂ってたようにポケモンの話しかしない孫娘になってしまった。祖父母はさぞ困惑しただろう。
祖父母はポケモンが分からない、それでもどハマりしている孫娘にポケモンで楽しんで欲しいという気持ちがどこかにあったのだと思う。

ある日「ポケモン映画に連れて行ってあげる」といわれ、祖父と2人、映画を見に行く小さな旅が始まった。
ちょうどポケモン1作目の映画が公開されたようで、孫のハートを掴むチャンスは逃さないつもりらしかった。
ちなみに私はこれまで映画を見たことがなく、思わぬ形での映画館デビューとなったのだった。
(ド田舎に住んでおり、映画館の存在など知らぬほどだった)


私の祖父母宅は岡山。
ちなみに私の本籍地も岡山(圧倒的個人情報)。

今でこそ岡山駅周辺はイオンモールもあるし、いろいろスタイリッシュではあり、「大都会岡山」と揶揄されているけれども、まあ整った栄えてる系の地方都市だなあという印象。

ただし本日見る映画はこちら!

劇場版ポケットモンスター
ミュウツーの逆襲
同時上映: ピカチュウのなつやすみ
1998年7月18日公開

今日見る映画これなんだ!
アニメのキャラ沢山だー!!!!

トゲピーいるのも激アツいな(生まれたときからオタク)

1998年7月、もう26年前です…………(絶望)
岡山駅は有人改札で、切符を駅員さんに渡していた覚えがある。駅前も今ほど綺麗じゃなかったと思う。
そんな当時は、まだ今みたいな映画館=シネコンとかではなかった時代のはず(シネコンは1993年に第1号が出来たとネットで見たので、ちょうど新旧の劇場が混在していたのだと思われる)。

ぼんやりとした記憶ですが、駅からちょっと寂れた商店街を歩いて、到着したのはレトロ……な外観の映画館。ていうか古いです。歴史の重み。映画館の名前は調べようとしたけど、全然分からないな。
窓口の人にシルバーと子供のチケットを頼んで受け取るおじいちゃん。この時代は座席指定の概念などなく自由席だったし、1回入れば何回でも同じ映画を見れたっぽい(入れ替えはなく、上映途中でも来たタイミングで入るスタイル)。

時間を気にせず出発してきたからか途中から入ったらしく、「ミュウツーの逆襲(後半戦)」から見始めることに。
何が起きているのか、もちろん前半を見ていないので分からない。当たり前すぎる。
ちょっとこの時代まだ自由過ぎる(褒めてる)
ただ、画面では同じポケモン同士が争っているし、大好きなピカチュウたちは泣きながら戦っているし、アニメだとみんな最後はHAPPY!な終わり方をすることが多かったのに悲しい……なんて思っていたと思う。成長した自分の感覚でいうと「切ない」ってこういうことなんだなと初めて感じた瞬間かと思う。
とりあえず見てたらサトシも助かったしみんな元気!良かった!終わった!
(雑)


その後は~~?!?!

ピカチュウの探検隊!
ポケモンかわいいかわいい!がんばれ~~!
チュッチュピカピカ!チュッチュピカピカ!
なつやすみファンクラブ、イエー!

※リアル女児だったので本当に雰囲気で楽しーい!となっていたと思われる。


そしてついに先の上映ではいくつか残ってしまった疑問点を解消すべく、いや、普通に見れていなかっただけなので「ミュウツーの逆襲(前半戦)」を観る。

初めに見た後半戦は怖かったし悲しかったけど大丈夫だろう……とまずまずの滑り出し。
割とミュウツーの城?に行くあたりまでは緊張しつつも頑張って見れた。
大丈夫かも……と思った矢先。

なんかくろいボールがモンスターボールをつかまえてる?!え!?!
(当時の私談)

飛び出るモンスターボールを捕まえちゃうミュウツーのボール、ありとあらゆるポケモンが捕まえられたところでショックすぎて、怖いのが止まらなくて、涙目で隣の席のおじいちゃんに「おうち、帰りたい……怖い……」と伝え、劇場を離脱してしまった。

もちろんその晩、留守を守っていたおばあちゃんには笑われたが本当に怖かったのだ。だって自分のモンスターボールが急に別の人に捕まえられちゃうんだよ!?と。
特におばあちゃんちは広い分し、死角や暗い所が多いし、どこかからミュウツーボールが来るかも……ばーちゃんと一緒の布団で寝る!とわがままを言い一緒に寝てもらった日がしばらく続いていた。

一緒に見ていたおじいちゃんはおばあちゃんの部屋に聞こえるくらいのいびきでぐっすり寝ていたけど。


その後の話。
あの映画は4歳児が見るにはまだ早すぎたのか、リタイアしてしまったので、後日紙媒体なら読めるかもとコミカライズを母に買ってもらい読破した。
やっと話の全貌が掴めるもやっぱり怖いよ~~~~の感想で頭がいっぱい。
キッズだからね。
あとジュゴンに乗る映画キャラのお姉さんに憧れて、ジュゴン乗りごっこをしまくっていた。
(被害者:本映画を一切見ていない父)


2019年には満を持してリメイクされた本作だが、本能的に「初めての映画体験」であるこの思い出を大事にしていたのか、忘れたくなかったのか、リメイクは見れなかったし、オリジナル版も改めて最初から見よう、となることなく過ごしてしまった。

今回、映画にまつわる思い出という形でここで記録に残したので、「ミュウツーの逆襲/ピカチュウのなつやすみ」、26年越しに完走したいと思う。


きっと見終わったわたしは、当時孫のワガママに付き合って振り回されて、それでも楽しそうだったおじいちゃんに「ポケモンノーベル賞」をあげたくなっちゃうと思う。

もうこの世界にはいないから直接あげられないけれども、どこかでこの気持ちに気付いてくれたら嬉しいな。

もうすぐ来る、初めての映画体験と同じ頃の夏の夜空に、そっと願おうと思います。

思いが届きますように。


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