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滲んだ空はまだ春霞

もう6月だ。
季節は初夏を迎えようとしている。


まだ心の中に春を抱えている僕のことなんて置き去りにして。




『春霞』が特別な存在になりすぎてて。


まだ聴こうという気持ちになれない。


Music Videoにおいて描かれた物語も。


5月20日のステージで紡がれた惜別も。


そのすべての『春霞』があまりに切なすぎて、美しすぎたから。


思い出に上書きをしてしまうような、そんな錯覚をしてしまうのは、僕の悪い癖なのだろうな。


その想いでさえ、いずれ時が経てば、薄れていくものだというのに。


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思えば、タイトル未定というもの自体が僕にとっての特別な存在だった。


それは、ともすれば、自分以上に大切にしたいと思わせるほどに。(今は、まず自分を大切にしなきゃいけないということは分かっているつもりだけれど。)

だからこんなにも沢山の思いや言葉を綴ってきた。
ブログだけじゃなくて手紙も送ったりしてきた。


(手紙を書く、というのは結構気持ちのスイッチが要るものだと思う。よく手紙を書くのが趣味みたいなオタクも見かけるけれども、それはそれで否定はしないけど、僕自身の話で言えば何か「これは今伝えておきたい」みたいな強い衝動に近いものがある時でないと、書けないかなと思う。)



川本さんが加入して、タイトル未定のほぼすべての音源が川本さんの声が入っているバージョンで新たにリリースされた。
それ以降はその新しいバージョンの方を聴いてきた。だって今のタイトル未定を応援しているのに、わざわざ旧体制の音源を聴く意味がわからないからだ。(ランダムで流れてきた旧バージョンのをそのまま聴くようなことはあった。)


でも川本さんが卒業した今、その縛りみたいなものも解いていいのかなと思った。少なくとも理屈の上ではそういうことになる。




『いつか』
という曲がある。


阿部葉菜に北海道行きを決心させたという1曲。


七瀬のぞみ(後に川本空)が歌っていたパートで、

かけがえない日々をありがとう
静かな思い出になっても
燃えるようなあの気持ちは
どうか消えませんように

という歌詞がある。
ここがとても好き。


たとえばそれは、2022年のあの夏の出来事だったり。

初めて自分たちのCDが店頭に並んでいるのを見た時のこと。

1stアルバムがアイドル楽曲大賞で高く評価されたことだったり。

やっと逢えたデビューライブの日の気持ちだったり。

それまで歌うことを禁じられていた僕らが、初めて一緒に歌えた日のことだったり。




そういういろんな気持ちがある。 




僕などが言うまでもなく、


すべての楽曲にそれぞれの出会い方があり、

それぞれのストーリーがあって、

そのすべての楽曲が誰かにとっての大切な存在。


綺麗事を言う訳でもなく、本当にそうなのです。





今も、あの頃も、なんにも変わらない。


だから僕はタイトル未定が好きなんだ。


5月20日のこと。

ここで感想を書くか、迷った。


というか、書けなかった。

配信のアーカイブも2週間ほど視聴できる期間は設けられていたものの、ライブ翌日に自宅に帰ってから確認程度に1度見ただけ。ノートにセトリと一言メモみたいなのを書きながら。それは心に閉まっておこうと思う。(大したこと書いちゃいないけどね)


あの日は何を話したかな。


優花さんとは、「とうとうここまで来たね」みたいな。デビューライブの時からお互い知っているけど、僕があまり優花さんのところへ行かないものだから、不思議な距離感。でもちゃんと覚えてくれているので嬉しいし、ありがたいなと思う。


谷ちゃんには緊張してそうだったので「今を楽しめよーキラキラアイドル〜😆」みたいに軽いノリで行きたかったのになんか美少女すぎて「今日、楽しんでねっ!」とかそんなんだったかな。テンパりましたね。


あべはなにも半年ぶりくらいに会うのでドギマギしてたな。新曲『壊せ』がいいよね、でもどっちも良いけどね!みたいな。あと自分の名前が変わった(本名になった)話。
「花には太陽が必要だからね〜」(やかましいわ)


川本さんは列も長そうだったし、もともとそんなに行ってなかった僕が行って他の人の時間を奪ってもなあと思ってしまったので行かずに。それは自分的に納得の判断なのでいいんだけど。
初めて行った時、「わたし、川本空っていいます!」って言われたの面白かったな。




知らないことがほとんどの世界で
互いに名前を呼び合っているなんて。

出会えたことがもう奇跡なんだって。



冒頭に、聴こうという気持ちになれないと書いたけれど、ここで改めて、あの日以来に『春霞』を聴いた(見た)。


やっぱり鼻の奥が少しつんとした。


でも、悲しい気持ちじゃなかった。


ただただ愛おしく思う、穏やかな空を見上げるような気持ちだった。


その空は少しだけ霞んでいたけれど。

















お気持ちだけで十分嬉しいですけれども、もしサポートしていただけましたら 我が家のかけがえのないにゃんこの命を守るために大切に使わせていただきたく存じます🐱(*^^*)