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神社になった巨石古墳

宮地嶽神社

「光の道」のテレビCMですっかり有名になった宮地嶽神社だか、もともと日本一の大注連縄が有名な神社だ。

春と秋に見られる光の道は、有名になりすぎて簡単には見られなくなった。
神社で御祈願を受けた人か、何時間も並んで整理券を貰わないと、参道の階段には立ち入れない。
なにせ階段なので、人が殺到すると危険極まりない。立ち入り規制は仕方がないだろう。

海から一直線に伸びる参道は、光の道がなくても素晴らしい眺めだが、参道は何故か本殿正面から少しずれている。道ができる時期でも、光が本殿に差し込むことはたぶんない。
エジプトのアブシンベル神殿のように、奥まで光が届くとまた別のロマンがあるのだが。

本殿の裏手には「奥の宮八社」と呼ばれる八つの神社がある。
この「奥の宮八社」のひとつが、不動神社であり宮地嶽古墳である。

宗像大社から宮地嶽神社にかけて、周辺には多くの古墳が点在しているが、この宮地嶽神社の古墳はその中でも特筆すべきものだ。

この古墳は日本最大級の横穴式石室を持つ巨石古墳で、縦横が5メートル以上の巨石を積み重ねてできている。

参道の階段を見ればわかるように、宮地嶽神社の本殿は小高い場所に建てられている。
この巨石古墳はそれよりもまた少し上った場所にある。
縦横5メートル以上の石を幾つも運び上げるとは、すごい技術と労力だ。どんな人たちがどんな思いで作りあげたのだろう。
「こんなもん作ってどうなるんだよ!」
だったのか、それとも
「あの方の為に誰よりも立派な墓を作るぞ!」
だったのか。あるいはもっと別の理由があったのか。

この古墳は「地下の正倉院」と言われるほど、豪華で多数の副葬品が出土している。
埋葬者はいったい誰か。
幾つかの意見があるようだが、確定はしていない。
小高い山に埋葬されたのは、この地の支配者だろうか。自分が治めた土地を見渡せる場所に埋葬されたのだろうか。

江戸時代に発見されて、その後の発掘を機に古墳内に不動明王を祀り不動神社となった宮地嶽古墳。
石室の手前に拝殿が建てられている。
(現在、内部の撮影は禁止)

この拝殿の中には入ることができて、石室の巨石の石積みを見ることができる。
石室の中に立つとなぜか心が鎮まっていくようだ。さすがに石室の中に閉じこめられるのごめんだが、30分から1時間くらいなら、中で静かに瞑想でもしてみたくなる。
石にも人を癒やす効果があるのだろうか。


石室の上は小山になっているが、もともとの墳丘が残っているのか、盛り土をしたのかはわからない。

この辺りは玄界灘に面し、大陸との行き来も盛んだっただろう。海が見下ろせるこの場所は地勢的にも重要だったろうし、宮地岳は美しい形をした山なので海からも見つけやすかったのではないだろうか。

古代、この地でなにが語られなにが行われていたのか。

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