2023上半期ミュージカル感想

ミュージカルの感想を、せっかくなので描こうと思う。
普段は宝塚を中心に見ているけど、結構なんでも見るので、せっかくだから感想を書きます。


キャッツ(劇団四季)

男のダンサーってすごい。ダイナミックさが違う。あと、やはり全ての歌とダンスのレベルが高い。
囁くような表現がとてもよくて。こういうミュージカルができるのはやはり劇団四季なのだと思った。
作品についても、面白くて、なぜグリザベラが選ばれたのか、明示されないけれど、グリザベラにだけ、語れるような人生がないことが悲しく、だからこそ彼女が昇天することになったのだと思った。

ノートルダムの鐘(劇団四季)

フロローとカジモドはよく似てる。カジモドも別に、聖人のようには書かれていないと感じた。カジモドの中にも、フロローを殺すような精神性は潜んでいたわけで、全ての人の中にそんな暴力性は潜んでいるのかもしれないと思った。
それから、フロローはカジモドが大好きすぎると感じた。フロローはカジモドといることで自分の罪から逃れることができたし、彼を育てることでしか自分を保てなかったのだと思う。

ドリームガールズ

全員歌が上手。望海風斗目当てで行ったけど、女性陣全員上手。三階席で見たけど、めちゃくちゃ迫力あった。あとカーティスが良かった。クズで。
強いて言えば、全体的に曲調が似てて。あと、結構大声で感情的な場面が多くてそれがキツかったな。

太平洋序曲

めちゃくちゃ良かった。
シンプルな音楽、舞台。良い。
感動したのは、文楽のような操り人形を使うことで天皇の傀儡感を出したところ。
死ぬ場面の布の使い方がよくて、赤い紐がすごく印象的で。視覚的にすごく良い表現だった。
音楽も大変このみ。ただ、歌うのが大変そうだなって思った。

マチルダ

毒親の描写がキツかった。マチルダがかわいそうでかわいそうで。
でも、それに負けないマチルダは、本当にカッコ良いし、大人が勝手に子供を哀れむ必要はないのかもしれない。
サーカスの夫婦の像は、マチルダの理想だと思ってたら、先生の両親でびっくり。つまりは、先生はきっとマチルダのもう一つの可能性というか。もしかしたら、マチルダも先生のようになってしまう可能性もあったということなのかも。
原作読んでたはずなのに、大昔すぎて純粋に驚きながら見られた。
ただ、女性をテーマにするなら、校長も女のが良かったのでは?
私はlooksを、あなたはbooksを選んだ、このシーンの訳が好きだったんだけど、採用されてなくて。ロアルドダールの良さは韻を踏んでいることだと思うから、ちょっと残念。
あと、先生、元宝塚だったからか、最後のスケーターに乗って足を上げる動作が、綺麗なアラベスクで、さすがだった。
それから。大阪の初日を見たけど、あり得ないくらい盛り上がってて、校長が技を決めたら指笛はなるわ、海外で見てるような気分でした。楽しい。

マギ2

2.5次元。
廣瀬友裕さんが出ててびっくり。絶対目があった気がする。かっこいい。
マギミュージカル1も見たけど、その時よりもメインキャラの登場が減った印象。
ただ、私が2.5次元ものに慣れてないせいなのか、場面一つ一つがバラバラな印象を受けた。とはいえ、カシムとアリババの関係性を描いたものとして1よりもまとまりを感じた。1の時は、時間の都合上or次への布石のためか、最後に戦争描写が追加されていたから。ただ、メインターゲットであろう原作ファンは、原作からの再現度の高さを求めているようなので、オリジナル展開とか、省略のしすぎとかは、このジャンルでは歓迎されないのかもしれない。ので、この作品としてのまとまりなどは特に考えなくて良いのだと思う。
アラジンもこの話では成長していく人物の一人なのかも。純真な感じが良い。
アリババの、くやしさを表現する時に、己の中にため込むような言い方がとても良い。演技として良い。
モルジアナはなんか前より歌が上手になっていた印象。
ただ、キャスト全体として歌が力技で乗り切っている感じの演技が多くて、繊細さがあってもいいのにな、と思ってしまった。
客席下りが多くて満足。

精霊の守り人

明日海りおが好きだし、原作の大ファンなので、激戦を勝ぬいてゲット。短いバージョンを見ました。枚方公演。
席が良席で、前から2列目のセンターだったけど。正直これはもう少し後ろから見ないと映像効果が見えなくなる気がした。
よかった点は音楽。あと、明日海りおを近くで見られたこと。バルサの再現度が高かったこと。座るだけでもうバルサなんよ。あと、タンダもよかった。思ったよりもお調子者でびっくりしたけど。チャグムもあのぼんやりした感じが良かった。
ただ、あまりに原作ファンすぎて、様々な解釈違いがあった。バルサはもっと皇族が嫌いだし、でもチャグムを助けることで救われるわけだし、チャグムはチャグムでもっと普通の人間のように苦悩をし、そして悩んだ上で運命を受け入れる描写がもっと欲しかった。やはり、原作を安直に再現することが、解釈違いを減らす方法なのかもしれない。
それから、映像出身者が多いせいか、やっぱり舞台演劇として見ると、少し言動が棒立ちに見える。繊細な演技も良いけど、もっと遠くまで伝わる演技が必要。

個人的にはシュガのファッションが永遠の謎。媒体によってビジュアルが違うし、そもそもお前の頭は白なのか黒なのか。今回の舞台では辮髪みたいだったけど。

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