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「良い相続・悪い相続」からの学び vol.2 ~気持ちを伝えることの大切さ①

この本を読みながら、相続事例を学び、考えをめぐらせています。

ここに書かれている事例を読み、私が考えたことをアウトプットして自らが学び、みなさんにも有益情報としてお届けできるように、試行錯誤しながら書いています。

前回は、vol.1で、特別代理人について書きました。ご興味ある方は下のリンクからどうぞ。今回は、気持ちを伝えることの大切さについて書きました。「気持ち」は、相続を扱う専門家が大切にしなければならないテーマですが、テキストで学ぶことが難しく、専門家の深く厚みのある人生経験こそが役立つのだと思います。

この本の中で、深く厚みのある人生経験を感じたのが、p88 の事例12「分岐点は心のこもった手紙~隠れ借金発覚、遺産分割が困難な状況を変えたもの」堀口実著でした。

概略は、相談者の夫が亡くなり、相続人は相談者である妻と義母の2名。義母と相談者夫婦は長年疎遠の状態で、全く連絡を取っていませんでしたが、妻から義母へ、気持ちを伝える手紙のやり取りにより、義母は相談者である子の妻へ感謝の気持ちが芽生え、良好な関係になり、義母は相続放棄をする方向に進んだ、という事例です。

最終的に相談者にとって希望通りの良い方向に進んだのですが、ポイントとなった箇所はココだと思います。

もう一方の遺産分割の話し合いの件は、打ち合わせで弁護士より相続人である義母へ通知を出してもらい、相談者から気持ちを綴る手紙も同封をすることになりました。

良い相続・悪い相続 相続診断協会編 p92

この内容から、3つの学ぶべきポイントを見つけました。

【ポイント1】
気持ちを伝える手紙が重要と考えられる発想です。専門家であれば、弁護士から通知を出してもらうことは、誰でも考えることだと思いますが、相談者から気持ちを綴る手紙を出すという発想ができる専門家がどれだけいるでしょうか?

【ポイント2】
気持ちを伝えるためには、勇気と負担がかかることを理解していることです。この手紙を同封するためには、当然、相談者に手紙を書いてもらう必要があります。相談者が自分の気持ちを深堀して、文字にして、文章にまとめていくというのは、相談者にとっては大きな負担です。しかし、引用した部分の手紙だけでなく、複数回にわたり、お手紙を出したようです。気持ちを伝えるための勇気と負担を相談者に負ってもらうアドバイスというのは、人生経験豊富な堀口氏だからこそできたことなのだと思います。

【ポイント3】
相談者と相続診断士との信頼関係です。双方の信頼関係が築けていたからこそ、相談者は気持ちを正直な気持ち、伝わる内容を手紙にしたためることができたのだと思います。結果、想いが伝わり、良い結果につながった事例だと思いました。

私を筆者に置き換えて、この事例を自分が担当していたら、筆者のように人間関係の本質的な部分に気づき、問題解決のために進めることができていたかを問い続けたいと思います。

人と人は話しをしてみないとお互いの気持ちはわかりません。
いつの間にか悪くなってしまった人間関係も、修復できるものはたくさんあるのでしょうが、あきらめてしまっている人が多いように思います。
当人同士の勝手な思い込みが、誤解を生んでしまっていることが多々あります。
伝えることで、関係がこじれることもあるかもしれませんが、相手が大切な人であればあるほど、あきらめず、伝え続けることが大切なのだと感じる事例でした。

気持ちを伝えたいと思ってもなかなか難しいと感じてしまいます。
人生は一度きりですので、後悔はしたくありません。
人に寄り添い気持ちを引き出せて、一歩を踏み込んで気持ちが伝えられる人間になれるように学んでいきます。

相続対策や手続きで「気持ち」は切っても切り離せないテーマです。題名に①をつけたのも、これからも「気持ち」にフォーカスした内容を随時書いていく予定だからです。

前回のvol.1「未成年者が相続人の場合 特別代理人」について書いたnoteも貼っておきます。

疑問点やご相談、ご意見、ご感想ございましたら、お気軽にご連絡ください。


(笑顔)相続診断士 柏原健太郎 
e-mail : kashiwabaraka@gmail.com
ご相談の方は、メールいただいた後、お電話やご面談させていただけたらと考えております。

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