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VO2maxとは:長距離走の重要指標を大まかに理解しよう

 一般の方、他の競技の基礎トレーニングとしてランニングをしているような方、あるいはエンジョイランナー層にはあまり馴染みは無いかも知れませんが、長距離ランナーにとって重要な身体能力指標として「VO2max」というものがあります。「最大酸素摂取量」と聞けば重要なのは明らかですが、私自身も約半年前にGarminのスマートウォッチを買うまで知りませんでした。
 そこで、このVO2maxというものがどういうものか、どうやって算出するのか。ランナー以外にも有用な指標ですので、皆さんのパフォーマンス向上に資するため大まかに紹介していきたいと思います。

1.基礎知識

 まずVO2maxとはどういうものか。日本語では「最大酸素摂取量」となりますが、これは「体内に取り込むことが出来る酸素の最大量」ということを意味します。長距離走などの有酸素運動では体内の酸素を消費することでエネルギーを生み出すので、VO2maxが高ければ生成できるエネルギー量が多く、その分高強度で長時間の有酸素運動を行えるということになります。
 VO2maxの単位は[ml/kg/min]、つまり1分間で体重1kgあたり何mlの酸素を取り込めるか、という数値になるそうですが、体感で何ml取り込んでいるかなどということは認識できないのでトレーニングにあたっては意識する必要はありません。単に指標としての数値だと考えれば十分です。

2.VO2maxの算出方法

 VO2maxの算出方法はいくつかありますが、一般的に使用されているものの中で最も手軽な(その分精度は落ちる)計算式は以下のものです。

VO2max = 15 × 最大心拍数 / 安静時心拍数

 この式の中で、最大心拍数とは何か。簡単に言うと、負荷が最大限にかかったときの1分間の心拍数です。当然個人差がありますが、年齢によって平均的な最大心拍数は以下のようにして計算できます。

最大心拍数 = 220 - 年齢

 他にも、有酸素運動に慣れている人は[210-(年齢×0.5)]の方が正確性が高いとか、高齢者は[207-(年齢×0.7)]の方が適当とか、計算方法の違いが多少ありますが、どれにしても個人差を無視できません。一般的には計算も簡単なので[220-年齢]で問題ないでしょう。

 安静時心拍数は文字通りの意味ですが、起床後など全く運動していない安静状態での心拍数ということになります。自力で測ることも可能ですが、スマートウォッチなどを着用していれば自動的に計測してくれます。

 VO2maxの算出に必要なものはこれだけです。つまり、「年齢が若いほど」「安静時心拍数が低いほど」VO2maxが高く、それだけ長距離走などの持久力に優れているということになります。年齢はどうにもなりませんが、安静時心拍数が下がるようなトレーニングをする。これが、持久力を高める秘訣だと言えます。

3.VO2max早見表

 以上の計算式を元にVO2maxの早見表を作成しました。安静時心拍数は40~70bpm、年齢は20~70歳の5歳刻みのレンジ。最大心拍数は[220-年齢]で計算しています。※クリックで拡大できます。

VO2max早見表①[最大心拍数=220-年齢]


 また、有酸素運動に慣れている人の場合として、最大心拍数を[210-(年齢/2)]で計算したパターンも以下に掲載します。

VO2max早見表②[最大心拍数=210-(年齢/2)]

 どの程度を「有酸素運動に慣れている」と言うのかは分かりませんが、その方がVO2maxが高めに出るというのは感覚的には理解できます。
 30代男性の平均は40程度、30代女性の平均は35程度だとされています。また、フルマラソンのサブ3が65程度、サブ4が47程度だというデータもありますが……実際にはVO2maxだけでなく筋肉や腱の強さなども影響してくるのであくまで参考値となります。

4.Garminでの計測結果と比較

 私は半年ほど前にGarmin Forerunner955を購入して以来ほぼ常時装着し、日常生活からランニング時、睡眠時など常に身体データを測定している状態です。安静時心拍数も測定してくれますし、VO2maxも(どういうメカニズムか不明ですが)測定して記録されていますので上記の早見表と比較してみます。
 最近の私の安静時心拍数は50bpm。年齢は……30代中盤として、①の早見表に当てはめるとVO2maxは55程度になりますが、Garminの計測値だと49。Garminの方は年齢・安静時心拍数以外にも蓄積された様々な身体データからVO2maxを算出しているはずであり、そちらの方が実態に近いのではないかと思われますので、上記の計算式ではかなり高めに出てしまうようです。
 なお、高負荷のランニング時には心拍数が190bpmに達することがあるので②の方が最大心拍数としては正確なのかもしれませんが、だとするとGarminとはさらに乖離することとなります。

5.最後に

 VO2maxの概要と簡単な計算方法などを説明しましたが、もっと詳しく解説しているWebサイトも多数ありますので、正確に知りたい方はそちらを参照されるのが良いでしょう。

 私自身のことで言うと、大学生の頃にランニングイベントに出るようなサークルに所属していたにも関わらずVO2maxとかいうものは全く知りませんでした。また、社会人になってからRuntastic(現:Adidas Running)アプリを使用してランニングに取り組んでいた時期もあったのですが、そこでもVO2maxなどという指標を見たことは無かったように思います。
 しかし、最近Garminのデバイスを購入して初めて知り、Garminコーチの機能などを利用し意識してトレーニングをするようになってから、明らかにランのペースが向上しています。
 比較してみて分かったとおり、一般的に知られている上記の簡単なVO2max計算式はかなりの誤差が生じるようです。より正確に測定するには専用の施設で測定してもらうか、クーパー法など別の方法により計算するのがよいでしょう。個人的にはGarminやPolarのスマートウォッチなどを導入すると、VO2maxが計測できるだけでなく精度の高いGPSやペース計測、トレーニングプランの作成など、トレーニングの質がかなり向上すると思いますので非常におすすめです。

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