【当代編】7.生まれ変わりの娘
そこらの石を拾い集め、中庭で急ごしらえしたかまどで朝夕煮炊きをし、そのかまどのそばにたらいを置いて、温室の水路で汲んだ水で洗濯をするサーカス団のひとびとを、雪花亭の窓から遠目に眺める家令アダムシェンナは、「日がな一日大騒ぎだな」とこぼして嘆息した。夜は夜で、あちこち洗濯物がぶらさがった温室から印度の音楽と歌声が響き、それらに混じってにぎやかな拍手や笑い声がたびたび起こった。それでも、夜半を過ぎる前に宴をおさめて寝静まってしまうのは、かれらなりにリィンセルへの義理を守っている