【当代編】4.女王の果樹園
届けられたばかりの信書をたずさえ、アルビオン大英帝国中央議会宰相のシャナハン・アイギスは、王宮内にもうけられたリザベル女王の執務室ではなく、ド・ポワッソン草庵へと足を向けた。
広大な王宮の敷地は、『白雪公』スノードロップ家の煙霧京での荘園と境を接している。
その荘園の大半をニヴァリス・パークとして開放する白雪公の、町屋敷たる雪花亭と、王宮本殿をあいだにして反対側にあるのが、ド・ポワッソン草庵だ。
古ガリア語の名を持つド・ポワッソンは、『黒馬公』セングレン家現当主のダネ