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【ともくん】


小学5年のころ好きな男の子がいた。
女子からはともくんと呼ばれていた。

ともくんはすらっと背が高くて、かけっこも早かった。勉強もできたし、人気もあった。
ようするに、ともくんはクラスの人気者だった。

そんなともくんがふとしたときにみせる表情がなんとも言えなかった。ともくんの物憂げな表情はわたしを虜にした。

来る日も来る日もともくんを想った。
けれど最後までわたしは想いを打ち明けられなかった。


中学3年、高校進学も決まったある日の夜、ともくんがわたしの家の前を歩いていたのを目にした。

他人のそら似かも知れなかった。声もかけられなかった。けれどその晩は眠れず胸がどきどきそわそわした。

明け方に最初で最後のラブレターを書いた。

高校に行ったら離ればなれになってしまうこと、風邪などひかないようになど、まるで母が子に言うような内容だったと思う。でも最後にこう書けた。告白したのだ。

ともくんがずっと好きでした。


ラブレターは渡すことができずにポストに投函した。

ドキドキしながら学校にいった翌日。
ドラマチックな展開が起きた。

私は自分の名前を書き忘れていたことに気がついた。
人生で血の気が引いた初めての経験だ。

こうして5年におよぶわたしの片思いは終わった。

...っていうお話。

[投稿にあたりpasteltimeさんのイラストを使用させていただきました。ありがとうございます。]

20231109

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