079君は机を叩き割りたくなるほど怒れるか。
仕事はお金をもらうための手段。
割り切るのにそう時間はかかりませんでした。
よくよく頭で考えれば、自分のやっていることが人の役に立っていることはわかる。
けれど、心がついてこない。
だから自己啓発書も読み流していました。
「君は机を叩き割りたくなるほど、仕事で怒れるか」
こだわりを持って仕事に臨めるか。その覚悟があるのか。
一生そんなことにはならないだろうな。
そう思いながら、3年勤めてきた会社を僕は辞めます。
4月に退社を告げる社員は疎まれます。
僕の仕事を引き継いでくれる先輩方は言います。
「稼ぎがいのない業務だね」
「評価されない仕事だね」
「誰もやりたがらないね」
日系若手大手の仕事なんてそんなもんです。はいはい知ってる知ってますけど。
うるせえ
そんな仕事を俺がちゃんとやってたから、あんたらが華々しい仕事ができたんだろう
やりがいは感じきれなかったけど、ズルせず、隠し事せず、正しくやってきました。
情のないドライな上司。
上手くいったら群がり、うまくいかないことには目をつぶるハイエナ。
自分のミスを人に華麗になすりつけ、社内外勝手に整理をつけるヤカラ。
心の奥底から、文句が沸き立ちました。
有名な6秒ルールも効きません。
気づけば僕は、机を割りたいほどの怒りを抑えて、上司の上司に伝えていました
「辞めるから言わないでいいかと思いましたが言います。」
目の前の机は割れませんでしたが、僕の頭の中の机は真っ二つに割れて煙がモクモクあがっていました。
週明け僕は会社を辞めます。
仕事は好きじゃなかったけれど、もう一回あの本を読み返します。
「君は机を叩き割りたくなるほど、仕事で怒れるか」
怒っちゃったなあ。結局がんばってたから。
前に読んだ時には読み飛ばしていた、続きがあることに気づきます。
「机をたたき割りたいほどの怒りを抑えて、行動に移せる。」
うん。
「入社3年目までにそういう経験をしたら、君は一人前だ」
…そっかぁ。
僕は天井を見てストンと眠りに落ちるのでした。
『入社3年目までに勝負がつく77の法則』中谷彰宏 PHP文庫
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