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スタートアップファイナンス

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スタートアップのファイナンスやIPOに関するnoteをまとめています。
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2023年9月の記事一覧

エクイティファイナンス、泥臭いその1手で1%でも確率を上げるために。

書こう書こうと思っていましたが、なかなか書けていなかったnote。 次はいつになるかわかりませんが、今回のものはまだ記憶に新しい今のタイミングで書き留めておきたいと思ったので筆を執りました。 後ほど簡単に自己紹介にも記載しますが、直近4年間は主にCFOとして上場準備中のスタートアップに参画し、ファイナンスやIPO準備などに取り組んでいました。 しかし今月(23年9月)からは上場企業に入社し、しばらくはIPO準備企業にフルコミットすることはなさそうだなと感じているため、直近4

【解説】10月スタート!新しいIPOプロセスが与えるスタートアップへのインパクト

来月(2023年10月)からIPOプロセスが新しくなることをご存じでしょうか。かなりテクニカルだし、正直あまり注目されていないと思いますので、知らない方も多いかもしれません。しかし、大きく日本のIPO、そして日本のスタートアップ・エコシステムをアップデートするキッカケになる可能性を秘めています。今日は、そんな「新しいIPOプロセス」について解説してみたいと思います。 事前に言っておくと、今回18,000文字を超える大作になっています。ただ、難しい話をできる限り簡単に書いたつ

臆病なIPO市場の夜明けはいつか?

2022年初から資本市場が急速に低迷し、ロシア・ウクライナ事情以降は急速なリスクオフモードに突入している。その後の利上げなど金融政策を含めた不透明感も相まって、日経平均だけ見ていると、株式市場は好調じゃないかと思いたくなるが、その実、最もリスクが高いとされるIPO市場、しかもテックセクターのIPO市場はいまだに臆病なままなのです。 2022年初に投稿した株式市場の調整、およびその後のスタートアップへの影響については、手前味噌ながらかなり適切なガイドラインだったかのように思う

ラクスル新社長の報酬から見る取締役報酬の現在地

本日2023年9月12日にCEO向けの大型報酬パッケージが公表された。といって、カルロスゴーンでも日産でも、孫さん・ニケシュやソフトバンクでも、イーロンマスクでもない。ポストIPOスタートアップの1社であるラクスル社である。全て条件が達成された時点での時価で10年総額"300億円”という金額だ。もちろんこれは今単年度報酬で支払われる額ではなく、あくまでも目標を達成した暁に初めて得られる報酬額の総額に過ぎません。 それでも、この金額はこれまでの日本株式会社の報酬水準からすると

スタートアップこそ活用すべき銀行融資という選択肢 〜8億円調達の裏側〜

このプレスリリースの通り、総額8億円を銀行借入等で調達しました。これまでのエクイティ調達総額に近い金額で、がっつり攻めたデットファイナンスとなりました。 今回の調達活動は、最初は4ヶ月ぐらいで終わるだろーと甘く見てたのですが結局1年かかったし、当初の目論見が大きく外れて誰も貸してくれない事態になりかけたりと、とにかく苦労する中、途中でいろんな人に助けてもらいました。この記事では、どこに苦労したのか/何に戸惑ったのかといったところを解説します。スタートアップ各社で事情は様々で

IPOにおけるオファリングサイズは極大化させるべきか、極小化させるべきか。

皆さん、こんちには。 2023年もあっという間に上半期が終わってしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。 IPOに目を向けると、2023年は東証の証券会社ヒヤリングによると90社超で着地しそうとのことで、2020年/2022年水準と同程度となりそうです。 オファリングサイズで見ると、楽天銀行(5838)や住信SBIネット銀行(7163)が牽引し、2021年上半期を上回る水準で推移しています。 USでは既にいくつかの大型テックIPOの承認が出始めていますが、日本でも202

ジョーシス、シリーズBで135億円を調達。〜日本から世界への扉が開く2023年〜

◼︎ 資金調達の実施本日ジョーシスはシリーズBを実施し135億円の資金調達を行いました。全額第三者割当増資での調達となります。シリーズAとの累計で179億円の資金調達となります。 本ラウンドは既存株主のGlobal Brain(百合本さん/立岡さん、SMBC-GBグロース、三井不動産31VENTURESから)と新規株主のGlobis Capital Partners(高宮さん)の両者にリードいただき、既存株主ではWiL、Yamauchi No10、新規株主ではJAFCO、