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スタートアップファイナンス

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スタートアップのファイナンスやIPOに関するnoteをまとめています。
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2023年5月の記事一覧

崖っぷちスタートアップが資金調達で壁にぶつかりまくった話

スカイディスクはこの度シリーズCエクステンションラウンドとしてエクイティ/デット合わせて8億円の資金調達を発表しました。 夏頃までにトータル10億程度の調達となる予定です。 正直金額的には特段目を引くような規模ではないのですが、かなり難しいファイナンスになったので、どなたかの参考になるかもと思い赤裸々に残します。 今回の資金調達のポイント 今回、エクイティでの調達については、4年前のシリーズCラウンドと同じバリュエーション、同じ条件で調達を行っています。4年ごしのエクス

税制適格ストックオプションの権利行使価額に関する通達案を読む

喧々囂々であった信託型ストックオプションや有償ストックオプションに関するQ&Aについてはまた別稿といたしますが、5月29日に国税庁からスタートアップ関係者向けに説明のあった、税制適格ストックオプションの権利行使価額に関する通達案は、これまでの税制適格の権利行使価額の設定からみるとパラダイムシフト的なものといえますので、少し検討してみたいと思います。 (速報的に記載するものであり、正確な内容を踏まえて随時調整をすることをご容赦ください。実際の検討の際には、別途税務アドバイザー等

国税庁発表を踏まえたスタートアップ株式報酬の明るい未来

村上です。先ほど日経新聞からも報道が出ましたが、本日5/29に国税庁(と経済産業省)からスタートアップ関係者向けに信託SOの課税関係に関する説明がなされました。岸田政権下においてスタートアップ政策が注目を集めるようになったタイミングで、なぜブレーキをかけるようなことをするのか、既発行分にも訴求(※国税庁は訴求するというより元々給与課税として納税されているはずというスタンス)されるのか、とネガティブなイメージばかりに目がいってしまいそうですが、私のnoteでは「未来思考」で、未

信託型ストックオプションの国税庁Q&Aに対する会計処理の考察

2023年5月、信託型ストックオプション(以下、信託型SO)の国税庁と経済産業省による説明会が実施され、Q&Aが配布された。 この点については既に2023年2月の国会で議論に上がっており、この経緯に関しては既知のものとして扱うが、知らない方については経緯及び概要は以下の有料記事がわかりやすく取り上げられているため参考とされたい。 前提として、本noteは既存の信託型SOの会計処理ではなく、国税庁Q&Aで明確になる部分の影響を対象としている。 また税効果会計は対象としていない

崖っぷちスタートアップがターンアラウンドを遂げるまで 〜4年越しの資金調達の軌跡〜

本日2023年5月24日、私たちスカイディスクは約8億円の資金調達を発表させていただきました! 実に、前回ラウンドから4年、私が代表に就任してからは3年半となります。 スカイディスクは2013年10月創業。就任時は7期目に入ってすぐのタイミング。 バーンレートは急速に上がっており、手を打たなければ2020年8月にはキャッシュアウトしてしまう。 プロダクトは何もなく、実態としては、シリーズCどころか限りなくゼロに近いバリュエーションと言える。 まさにタイトル通り"崖っぷち"

カンリーの創業から約5年の道のり

はじめにこんにちは!カンリー共同創業者・Co-CEOの辰巳、秋山です。 この度、シリーズBラウンドにて約10億円の資金調達を実施いたしました。 (全ラウンドの累計で15億円の調達になります!) 今回のラウンドでご出資いただいた皆さま、そしてそれ以外にも様々な形でカンリーをご支援いただいてる皆さま、本当にありがとうございます。 まだまだこれからの会社ですし、このラウンドは一つの通過点に過ぎませんが、一つの節目としてまずは感謝の思いをお伝えしたいです。 ※シリーズBの調達記事

note "スタートアップ冬の時代のIPO" 連載はじめます!

noteが上場したのは2022年12月21日。2022年は10年くらい続いてきた株式マーケットの上昇相場が終了し、上場・未上場のスタートアップの資金調達環境が悪化するなど、「スタートアップ冬の時代」と呼ばれました。 それから約5ヶ月が経ち、株式市場に大きく影響を与えるアメリカの政策金利の引き上げはまだ続いています。金利が低かったコロナ禍のゼロ金利時代からは5%金利が上がり、さすがに今後は上昇幅が緩まり、段階的に下がっていくことが予想されていますが、3月のシリコンバレーバンク

上場企業になるとは、どういうことなのか?レオス・キャピタルワークスの創業者3人が考える未来(後編)

こんにちは、ひふみラボ編集部です。 2023年4月25日、私たちのレオス・キャピタルワークス株式会社は東京証券取引所グロース市場へ上場しました。 前回に引き続き、創業メンバーである代表取締役会長兼社長・藤野 英人、代表取締役副社長・湯浅 光裕、営業本部長・五十嵐 毅に、上場について聞いてみました。 この連載を通して私たちが上場する理由や、「そもそも上場って何?」ということを知っていただけると嬉しいです。 レオスが上場する理由――なぜレオスは上場するのでしょうか? 藤野