見出し画像

システム思考実践:まちの居場所づくり〜笑顔が生まれる場所「みんなのお勝手さん」〜

〜笑顔が生まれる場所「みんなのお勝手さん」〜

8/25に「おたがいさま会議とよた」で私たちで取り組んでいる地域の居場所づくりについてのスピーカーをやらせていただきました。
発表内容をnoteに書き残してほしいとの要望があったため書いてみたいと思います。時間差で下記ホームページでも当日の動画がアップされると思いますので、アップされたら動画のリンクもつけようかと思います。

いかがでしょうか、会場での反応は発表モードのZoom画面からは確認できませんでしたが、多くの方に心当たりがあるのではないかと思います。

私のまち金谷町

私自身もよく当てはまる内容ですし、周りの方の話を聞いても、多くの方が該当するように感じています。私の住んでいる豊田市金谷町は、豊田市の中心部の豊田市駅とトヨタ自動車の本社の間にある町で比較的民家の多い、程よい便利な地域です。
金谷町は、人口2000人程度、世帯数1000世帯程度の町ですが、左下の年齢別の人口分布のグラフが示すように、大きく3つの分布の傾向があり、①20代周辺の単身世帯が多いであろう大きな人口の山、②30代〜40代の家族世帯であろう山、③70代あたりの地元の高齢者と想定される山が存在します。
しかし、この3つの層は日頃の交流は私が見る限りほとんどなく、仕事との往復で過ごしていると、意識することもなく過ごしてしまうことさえあります。

地域でよく起こっていること

このような状況は、私の住んでいる金谷町に限らず多くの地域で起こっているのではないかと想像し、図示してみました。
上の図の見方ですが、
矢印の根元が増えた(減った)時に矢印の先も増える(減る)ものを正の関係で青と+で示し、
矢印の根元が増えた(減った)時に矢印の先が減る(増える)逆の関係になっているものを赤とーで示しています。

ひとつづつ説明していきます。
移住した家族や単身世帯が増えると、地域との繋がりがないため、職場との往復や家中心の子育てが増えます。
職場との往復や家中心の子育てが増えると、地域を知ることがないので、まちの居場所のニーズがうまれず居場所が減っていきます。
まちの居場所が減ると、よほど社交的で外に出て行くアクティブな人でない限り、職場との往復が増え家中心の子育てがますます増えて行くことになり、
地域交流がなく居場所がどんどんなくなるループが生まれます。

この状態が続くと、時間の遅れを示す二重線//で表すように、遅れて孤独を感じるようになってきます。
孤独が増えると笑顔が減って、
笑顔が減ると孤独が増す悪循環が起こります。
これが、最終的には負の連鎖を生み、痛ましい事件にも繋がってしまうようにも感じます。

カナヤキャンプが目指した視点

そこで、私たちが考えた視点は、月に1回地域のハレノヒのようなカナヤキャンプというイベントを開催し、移住家族と単身世帯、地元の人の交流を増やす場を作ることを考えました。
交流する場ができると、まちの居場所ができて、
まちの居場所ができると、職場との往復や家中心の育児が減る、
職場との往復や家中心の育児が減ると地域に出ることになり、家でも職場や学校でもない第三の場所としての、まちの居場所が増える、
地域交流が増え居場所が出来ていくループが生まれると考えました。

このまちの居場所ができるループが生まれると、孤独を感じることが減って、笑顔が増えるループが生まれ、正の連鎖につながると考えました。

豊田市のわくわく事業の制度を活用し、月に一回、写真の空き地のすぐ横にある勝手神社の月並祭のタイミングでカナヤキャンプのイベントを開催することにしました。土地のオーナーさんは、一緒に活動する仲間として参画していただいています。
キャンプ用のタープを立ててコーヒーや飲み物を振舞ったり、おしゃべりをしたりゲームをしたりとやり始めると、地域のおじいさんも参加してくれるようになり、昔ながらの自転車にアイスキャンディーの箱を乗せて、実際に箱の中にアイスキャンディーを入れて子供達に振舞ってくれたり、昔のおもちゃを持ってきて子供に教えてくれるおじいちゃんがきてくれたり、知人の焼き芋屋さんに来てもらって焼き芋をほおばったり、徐々に地域の人も楽しみにしてくれるようになりました。

そこから矢継ぎ早に月一のハレノヒイベントのカナヤキャンプに止まらず、普段の居場所として機能させたいとの思いから、タイミングよく実施されたREADYFOR SDGs ✖️中部電力のマッチングギフト制度(集めた寄付と同額を中部電力さんがギフトとして提供してくれる制度)を活用して「みんなのお勝手さん」を作るチャレンジを行いました。

みんなのお勝手さん

そうして完成したのが、写真の「みんなのお勝手さん」です。
災害の時にも安心できる場所をコンセプトに、ソーラーパネルのついたあずまや。
車に充電でき、車から給電もできるV2Hのシステム。蓄電できる蓄電池。を設置し、雨水タンクも設置しました。
あずまやは、豊田森林組合さんのご協力のもと地域材を活用し、エネルギーシステムは地域エネルギーの「おいでんエネルギー」さんに協力いただきました。
また、写真奥は、プレハブを改修しコインランドリーとカフェが併設され、洗濯に来た方がカフェによっていただけるような場所になればと、土地のオーナーとオーナーの息子さんが営まれています。

笑顔エピソード

こんな場を作った後でどのようなことが起こり始めたか、ここからは笑顔エピソードとして、いくつかのエピソードを紹介したいと思います。

芝生をはった場所にレンタルブランコを設置したところ、子供達が遊びに来てくれるようになり、それをみていた近所のおじさんが、勤務先で廃棄予定のものだからと遊具を持ってきてくれました。
遊具がちょうど1、2歳のお子さんにちょうどよい遊具だったため、小さい子が遊びに来てくれるようになり、連れてくる親御さん同士の交流の場にもなり始めました。

常時椅子と机になるような遊具を設置したところ、中学生が宿題を教えうことも。
いろんな活用が生まれています。

良い話ばかりではありません。コインランドリーは誰でも入れるため、子供達も中に入ることもあるのですが、やんちゃな小学生たちが暴れたのか、設置してあった本棚に倒れ込み大きな物音とともに本棚を壊してしまいました。
お勝手さんに常駐しているオーナーが慌てて見に行ったところ、壊れた本棚の横で倒れ込んでいる小学生。幸い怪我はなかったのでよかったのですが、口をあんぐりとさせて謝りもしない小学生。最近の小学生は、謝り方も知らないのかとオーナーは思わず説教をしてしまったそうです。
地域で正しいことを教えられる社会教育の場になりつつあるようにも感じます。

当初からよく遊びに来てくれていた、ガキ大将のRくん。Rくんは中学生ですが、小学生を引き連れてガキ大将をやっていました。
何がご家庭であったかわかりませんが、突然出入りさせないとの申し出がありました。親御さんの言動を推し量るに、同学年の友達と遊ぶことより下の学年の子たちと遊んでいることをよく思っていなかったようです。
それからぱったり顔を出さなくなったため、メンバーみんなで心配していたのですが、最近また顔を出してくれるようになって一同ホッとしました。

お勝手さん、カナヤキャンプはやりたいことを試す実験場のような存在です。
これは、持ち込み企画ですが、地域の人と防災を考えたいということで、仲間内で防災キャンプを開催しました。
開催したところ、地域のおじいさんも立ち寄ってくれて防災話に花が咲き、災害時にこういうものがあるといい、こういうことが日頃わかっているといい、などホワイトボードいっぱいになる対話ができました。
写真右は、防災すごろくの様子です。子供達と一緒に遊びながら災害時の行動を学びました。

こちらは、月一イベントのカナヤキャンプの様子ですが、豊田高専の鉄道航空研のメンバーが人が乗れる電車模型を持ってきてくれた時の写真です。
カナヤキャンプには、鉄道の達人Aさんというおじさんも初期からかなり高度な自作の鉄道模型を持ってきてくれて、みんなを楽しませてくれているのですが、これまで高専生と並んで電車模型を出すことがあり、「高専生まだまだやなぁ〜」と日頃言っていたのですが、今回ばかりは違いました。
達人Aさん「でかい!降参、まいりました。」
また、乗車したお客さんには専用に準備してくれた切符まで配ってくれるおもてなし。
さすがの達人Aさんも「さすがは鉄研、またもや降参」と。
世代を超えた鉄道好きの交流にもほっこりしています。

こちらは、クラウドファンディングでご支援いただいた方々のネームプレートですが、初期から顔を出してくれていた高専生が自ら手を挙げてデザインしてくれました。顔を出し始めた当初から比べて目に見える成長を感じられた瞬間でした。
今では、就職して社会人となりましたが時折顔を出してくれています。

最近、中京大生も顔を出してくれていますが、3回目くらいでだいぶコツを掴んでくれたように思います。
基本的に、お勝手さんやカナヤキャンプは、やりたいことを勝手にやれる場所で場を提供するというスタイルです。
「あれやって。」「これやって。」という指示に慣れすぎた人は最初はとても戸惑います。
中京大生のみなさんも当初は御多分に漏れずだったように感じますが、今では自分たちで折り紙を準備して持ってきて子供たちと作って遊ぶようなこともやってくれています。

学生さんだけではありません。会社を退職された方のエピソードです。石油やエネルギー問題を専門とされている方で退職後も継続して調査されて、強い課題意識を持たれている方がいらっしゃいました。
ただ、どこでどうやって発信して伝えたらよいのかわからないとの課題をお持ちでした。
お勝手さんで、ワークショップを開催していただき、3回目の開催もつい先日終わりました。
先回は、新聞記者の方にも参加いただき、議論がとても盛り上がったようです。

今後目指していく姿

以上のような笑顔エピソードが生まれる場ができつつある「みんなのお勝手さん」ですが、今後どこを目指しているか。
「みんなのお勝手さん」が、まちの居場所として定着し良さが感じられるようになると、地域でそのような場所を作り維持していく意義や必要性、重要性を感じられるようになり、維持していくための自治意識に繋げられると良いと思っています。
自治意識が高まると、自治を推進するための人が必要になり、地域で人を育てる必要性が高まっていきます。地域で人を育てるためには、地元の人と移住した人が
交流し継続的な人材育成を行う、循環する地域ができるループが生まれるのではないかと考えています。
さらに、地域で人が育つようになることは、企業等の職場においても好影響を与える正の連鎖につながっていくのではないかと考えています。

現在、新たな取組みとしてスタートしたのは、他の自治区と交流してみるということです。
豊田市に平山自治区という大変よい取り組みをしている自治区があることを知りました。平山自治区の区長さんに連絡しインタビューをさせていただいたのですが、会社を退職された後に就任された区長さんで、自ら図書館で借りた書籍
でホームページ(HP)の作成の仕方を学び、すべての情報をHPや、LINEの公式アカウントから発信し、貸出備品の予約もHPで出来るようにしたそうです。
さらに、コロナ禍で外出規制がかかっている頃から、朝一番でZoom会議で自治会役員と顔合わせをして、誰が事務所に出勤するか決めるようにしたそうです。
地域によっては、自治会役員が高齢なためITツールは諦めているところも多い中、積極的に活用されて若い方よりも使いこなされている様子には頭が上がりません。
そんな、先進的な取り組みをされている平山自治区でもイベント開催をしたいという話もあり、私たちがやっているカナヤキャンプの取組みをお伝えしたところ、定期的な情報交換が始まりました。
区長さんには、お勝手さんの様子を見ていただき、私たちのメンバーも平山自治区のイベントに足を運ばせてもらいました。

今後の出来たらいいなですが、現在、それぞれの自治会同士ではつながっていないので、自治会同士の繋がりに発展できると良いなと思っています。
姉妹都市のように姉妹自治区でお互いの良いところを学び合えるような、お互いが刺激しあえる関係ができないかと妄想しています。
また、お近くの方でやりたいことがある方は、「みんなのお勝手さん」「金谷カヤンプ」の場でお試しに来ていただければと思います。
やりたいことがない方も、気軽に様子見で遊びに来ていただければと思います。

次回のカナヤキャンプは、9/3(土)9:00-12:00 @豊田市金谷町の勝手神社近くの「みんなのお勝手さん」で開催予定です。金谷カフェが目印ですので、お近くの方は、どうぞお越しください。

現在、運営しているメンバーの写真です。
みんなの出来たらいいなはなんですか?

私は、本を読むのが好きなため、
お勝手マイパブリック と称して、勝手に貸本屋を始めました。
カナヤキャンプのタイミングで、自分が読んだ書籍を並べて、本をコミュニケーションツールに会話して、読みたいなと思っていただいた方には、翌月のカナヤキャンプまで無償で貸出をしています。
返却時には私が気づいていないような部分まで読み込んでいて教えてくれる方もいて本当にありがたいです。

以上が、「おたがいさま会議とよた」での発表内容です。
この後、質疑応答やブレークアウトルームでの感想やコメントなどいただきましたが、多くの方にコメントいただいて興味を持っていただけたようでした。
会に呼んでいただいた主催の皆様ありがとうございました。

追伸。私の出来たらいいな。はじめました。


よろしければサポートお願いいたします!