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教えて大西さん、愛媛・無人島の芸術事業③町役場が「使途不明」と問い質す「ふるさと納税」クラウドファンディング

1、上島町役場からの問い合わせ

来年度設立予定のインターナショナルスクールが凍結。GCF(ガバメントクラウドファンディング)により納付したふるさと納税の使いみちが使途不明

地域コミュニティ活動の発展に寄与するとした、SAPによる豊島現代アートセンターの具体的な動きが見えない。

町内に主たる事務所を置くNPOに準じるものとしての取り扱いに疑義が生じており、今後の活動計画及び本町の従たる事務所を主たる事務所とする予定について説明を願う。


 愛媛県上島町の無人島・豊島(とよしま)への現代アートセンター開設をめぐって、町役場はNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)にこのような内容の質問を送っていました。2019年10月15日です。

 かなり厳しい指摘です。どうして町役場はこんな質問をPWJに送ったのでしょうか。

2、町長が売却条件の検討を指示

 その年の9月、当時の宮脇馨町長(2020年10月25日の町長選で落選)はPWJから旧豊島コミュニティセンターの敷地を購入したいという申し出を受けて、①売れるならば、値段はいくらになるか②売却の場合、議会にかける要件は何か、の2点を調査するよう部下たちに命じていました。

 役場の総務課は当時PWJに賃貸していた対象面積31480平方メートルで、使用料を算出した際の評価額は1067万円だったことを伝えるとともに、売却する際には改めて不動産鑑定士に鑑定を依頼して、売却価格が適正かどうか判断する必要があると回答しました。

 土地は全部で26筆あり、議会の議決を必要とするのは1件700万円(または土地の広さ5千平方メートル以上)としている町の条例を機械的にあてはめると、議決を省略する可能性もあるところですが、売却目的が1つなので価格も広さも議決を要するものとして扱うことが妥当だとして、町議会に議案を提出する必要があるとの見解を伝えました。

3、計画不履行に対する疑念

 実際に売却の方向に動くとなると、これ以外にも課題がありました。町役場は2019年3月、土地より先に建物を無償でPWJに譲渡していて、その時の議案提案理由に「地域コミュニティ活動の発展に資する」と書いていたのです。


 譲渡後の状況として、提案に理由にある地域コミュニティ活動の発展に寄与しているのかどうか?

 2019年10月11日に総務課が作成したメモにはそのように書かれています。

 同年3月の旧豊島コミュニティセンター建物無償譲渡の議案に添付された参考資料「旧豊島コミュニティセンターにおける事業実績と今後の計画について」には、以下のような内容が盛り込まれていました。

・研修棟を改修し、現代アート関連の書籍・資料が閲覧できるライブラリー、ギャラリー、カフェスペースなどを備えた「豊島アートセンター(仮称)」を整備する

 ・現代アート関連のセミナーや国際コンベンションなどを誘致する予定

 ・アーティストの長期滞在スペースの提供と完成作品の展示

   →どうなったのか?予定は?計画は?

   →施設面は2020年着工となっている。準備状況は?(今年度は設計という計画)

 ・島内で運営するゲストハウスの活用

   →すでに売却している。計画とは違う。計画書提出後、1年以内に売却はどうか?譲渡時の資料や契約を提示している関係から、土地売却時において、譲渡時の計画はどうなっているのか、土地取得後はどのような計画なのかをPWJに確認し、提出させ、その内容が適正かどうかを判断する必要がある。

  大切な町有財産を売る相手が、約束通り計画を実行する意思や能力を持ち合わせているのか、町役場が疑問を抱くのは当然のことと思います。

4、地域に対する敬意、真剣さを欠く態度

  2019年10月11日の総務課メモは以下のように議論を締めくくります。

  PWJからの事業計画書の提出が不可欠である。

 このシリーズの1回目2回目で紹介した豊島現代アートセンターの事業計画は、そのような経過があって、PWJから上島町役場に提出されたものなのです。そして、計画書では「事業パートナー」とされているCCA北九州やそのスポンサーである北九市役所は、PWJからその計画の内容を知らされておらず、了承もしていなかったのです。

 こんなやり方は非常識です。地域活性化のパートナーとしてPWJを受け入れ、「ふるさと納税」も特例的に利用できるようにしてきた上島町の役場や住民に対する敬意、真剣さを、私は感じることができません。おそらく町役場の職員もそのような気持ちを抱いていることでしょう。

 認定NPOとして税制上の優遇措置も享受しているPWJは、そのようないい加減な計画を自治体に提出するに至った理由を、地元住民のみならず、広く国民に対して説明する責任があるのではないでしょうか?

 次回は、PWJ大西健丞代表理事による釈明、反論を含めてご紹介します。

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