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教えて大西さん、愛媛・無人島の芸術事業①「CCA北九州からの協力」に疑義

町有地払い下げ受ける

 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の愛媛県上島町での事業に不可解な点があります。

 上島町役場庁舎がある弓削島の南に浮かぶ無人島、豊島(とよしま)に現代アートセンターを開設するという名目で、PWJは今年6月、町有地の払い下げ(有償譲渡)を受けました。

 豊島現代アートセンター(仮称)建設計画によると、同センターは「現代美術センターCCA北九州」から協力を受けて、ライブラリーやギャラリーを作り、若手アーティストの招へいなども手掛ける予定です。

CCA北九州「予定なし」

 しかし、肝心のCCA北九州からPWJに対してそのような協力をするという正式な意思表示はなく、事業計画にも関与していないようなのです。

「現在北九州市ではそのような話は把握しておりませんし、CCA北九州の方でも現在予定はないとのことです」

 10月末、CCA北九州とCCA北九州のスポンサーとして助成金を出している北九州市役所に質問を送ったところ、11月2日に北九州市文化企画課からそのような回答が来ました。

 PWJに対する町有財産の売却議案は今年6月の上島町議会で可決、成立済みです。豊島の旧コミュニティセンターの敷地2万8420平方メートルの売却価格は914万円でした。

 議決前に町とPWJが締結した仮契約には、10年間「豊島現代アートセンター」として利用する用途制限条項もついていて、義務を履行しない場合は契約を解除できることになっています。

町議会の全員協議会にも説明

 議案上程に先立って、町役場はPWJから受け取った「豊島現代アートセンター」建設計画書の内容を町議会全員協議会で説明しています。

 そこには事業パートナーとして、「現代美術センターCCA北九州」の名が明記されていて、事業の多くもCCA北九州からの協力を受けて行うことが書かれています。

 計画書の内容を抜粋します。

 豊島コミュニティセンターの研修等部分を大規模に改築し、現代アート関連の書籍・資料を所蔵するライブラリー、ギャラリー、カフェスペースなどを備えた「豊島現代アートセンター(仮称)」を新たに整備する。現代美術センターCCA北九州の協力を得て、アーティストブックや展覧会のカタログをはじめとする書籍・資料を幅広く閲覧に供するとともに、現代アート関連のセミナーや国際会議なども誘致する。

 また、将来的には宿泊棟の1階部分を回収し、国内外から選ばれた中堅・若手のアーティストが島に長期滞在しながら創作するためのスペースとして提供する。完成した作品は、アートセンターのギャラリーなどで展示する。展示・公開中のリヒター作品「14枚のガラス/豊島」や、島内で運営するゲストハウスも活用し、世界的に注目が高まっている瀬戸内海の観光の目的地として、富裕層やアート愛好家・収集家らを呼び込む。

 さらに、2018年、2019年夏に上島町で開催したサマースクールのように、世界各国の子供たちが自然の中で様々な体験を通して学ぶ機会づくりにも活用する。地元の子供たちにも交流の場を提供し、世界共通の話題や課題を話し合う中で国際的に活躍できる人材の育成を目指す。

提出資料に虚偽の記載?


 そして、豊島現代アートセンターの機能についての説明を読んでも、CCA北九州による協力は事業成立の大前提になっているのです。

  ① ライブラリー 現代アートセンターCCA北九州が所蔵・管理している作品集、アーティスト関連書籍、1980年代以降の主要展覧会のカタログなどを開架展示し、来館者の閲覧に供する。


  ② ギャラリー アート作品の展示スペースを設け、将来的には島を訪れる富裕層に作品を販売するギャラリーとしても機能させる。また、小規模な国際会議や現代アート関連のセミナーなどの開催スペースとしても活用する。

 ③ 創作スペース CCA北九州との連携により、世界の中堅・若手アーティストを招聘し、島に長期間滞在しながら作品を制作する場を提供。作品の販売を仲介する。

 ④ 事業パートナー 
  ・現代アートセンターCCA北九州
  ・特定非営利活動法人瀬戸内アートプラットフォーム
  ・上島町

 これらの内容は虚偽なのでしょうか?次回は、CCA北九州とはどんな組織なのかを紹介します。

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