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柏木公宰のエッセイ 第十九回「ちょっと怖い話~洗濯機の怪~」

皆様ごきげんよう。

今日はすごく暑かったですね。

気を失いそうになるぐらい暑い。

マスクもめちゃくちゃ暑い。

そんな暑い日はちょっとヒヤッとする怖い話はいかがでしょうか?

僕が実際体験した世にも奇妙なお話です。


『洗濯機の怪』

季節は春。

春にしては少しヒンヤリとしていて、

夜は空調の音以外はとても静かでした。


当時僕は、劇団現代古典主義「THE MACBETHS」の稽古期間真っ只中でした。

本番が近づくにつれ稽古も増え、夜中に帰る日々が続いておりました。

洗濯物もたまっていて、そろそろ洗わないとまずいと思い、

その日はたまたま早く帰れたのもあったので

帰宅後すぐに洗濯することにしました。


時間は20時頃。

まだ今の時間なら洗濯機を回しても近所迷惑にならない。

速やかに洗濯して干そうと思い、家の外に置いてある洗濯機に服を入れようとしたその瞬間、

なにか違和感を感じました。


「洗濯機の中になんかある・・」

暗くてよく見えないのですが、なにか小さい何かがある。

僕はいつも洗濯機の蓋を開けっぱなしにしてるので

「きっとまた葉っぱか何かだろう」

と思い、手でそれを取り除こうとしました。


暗闇の洗濯機の穴の中。

微かにみえるその葉っぱらしきものを触りました。

「?・・葉っぱじゃない」

その感触は葉っぱではなく、とてもやわらかいものでした。

僕はそれを手に取り、見えるように顔に近づけました。

「・・羽?」

それは、灰色の鳥の羽でした。

しかし、その瞬間。僕はその羽を投げすてました!

なぜならその羽、よく見たらあるものがついておりました。


血です。


なぜか灰色の羽に真っ赤な血がついていたのです。

驚いた僕はその羽を投げすてた後、一旦家に戻りスマートフォンを持ってきてカメラモードにしました。

カメラモードのライトを懐中電灯代わりにして洗濯機の中を照らしてみました。そこには・・


血だらけの羽が洗濯機の中で散らばっていたのです。


僕はすぐに洗濯期の蓋をしめてそのまま家に逃げました。

怖くなった僕はそのまま寝ることにしました。


「なんで鳥の羽が・・?」

「いたずらか・・」

「もしかしたらあの中に鳥の死骸が・・?」

そんな不安を抱きながら眠りにつき、翌朝もう一度洗濯機の中を覗いてみました。

そこには、やはり昨夜と同じ血だらけの鳥の羽が無残に散らばっておりました。

ただ、鳥の死骸はどこにも見あたらない。

僕はとりあえず血だらけの洗濯機を掃除することにしました。


あれから一年。

特に僕は大丈夫ですし、洗濯機も今も現役で使っております。

しかし、あの時の血だらけの羽はいったいなんだったのか。

ただのいたずらなのか・・。それともこれから起こるかもしれない不幸の前兆なのか。

肝心の鳥の姿もどこにもいない。

いったいあれはなんだったのか・・。

信じるか信じないかは、あなた次第です。

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