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大人の平和学習in広島

 生温かい磯のにおいが鼻腔を満たす。きらめく陽に目を細め艦尾を追いかけた。潜望鏡から覗く港には、セーラーと共に生きてきた航跡が見える。

 レッドウイングに乗り市内に戻る。慣れない路面電車に乗るのも一苦労。デルタに照りつける太陽は容赦ない。祈る人々の首筋をジリジリと焼き、アスファルトからは温野菜ができそうな熱が押しよせる。

 崩れた壁を目に焼き付けて、川沿いを歩く。惨劇を伝える三輪車。穏やかな表情を浮かべる、炎に消えた人たちの写真。T字橋の上で1つの考えが浮かんだ。「ピースサインは指を2本使うよな」1本は冷徹な現実に立ち向かうため。もう1本は理想の世界を想うため。僕たちにできることは何か。

 鯉城のお濠に浮かぶ遊覧船の案内人がヒントをくれた。「こいわしの天ぷらが美味しいですよ」天ぷらには出会えなかったけれど、お好み焼きを頬張るキミ。何気ない日常を大切にすることこそ、理想の世界への第一歩なのだ。

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