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手話考察 No.4 〜翻訳シリーズ〜 「なる」

最近あつ〜くなってきましたね!
手話するたびに手に熱がこもるように…
って、前から肉厚か。(笑)

さ、気を取り直して…
今回も翻訳シリーズ!がんがん行きますよ〜。
マンツーマン受講生から頂いた例文はコチラ!

「大きくなったら、先生になりたい」

まず、お約束(?)どおりに、
日本語順に即した、
日本語対応手話表現を見てみましょう〜。

私/大人/なる/時/先生/なる/欲しい

と表す方が多いと思います。
もちろん、日本語対応手話も立派な言語で、
日本語指導やTV字幕環境が充実した中で育った
若い聴覚障害者(30代あたりより下?)の中で、
日本語対応手話を使う人が増えてきているように
感じられます。
あくまで個人的な感触ですが。

しかし、日本語対応手話がなかなか通じない
世代・環境が現存する
のは確かですし、
彼らの文化背景を知るためにも、
視覚言語たる手話そのものをより楽しむためにも、
視覚イメージに富む日本手話も
併せて学んでおく方が良いのでは、
と個人的に思っています。

あ〜。
超能力で曲げられたスプーンのように
ハナシ逸れまくってしまいました。
(いや、例えの意味がわからん。)

さてさて、
日本手話ではどう表現するのでしょうか。

まず、「大きくなる」。
”大人”という手話ですが、
この表現にはもう成長の過程そのものが含まれている
つまり、
”大人になる”というニュアンスがもう含まれている
なので、わざわざ ”なる” と、
表現しなくても済むと思うのです。

大きくなった「」は、
大きくなった「その時」ということなので、
ここで ”うなずき” をはさむ。
それで生まれる”間”によって、
うなずきの前の文、つまり、
「大きくなった自分」に一旦焦点を置かせる
かのような感じがします。

次にいきましょう。
先生になりたい」。
先生=教える+人ですが、
その ”人” は他ならぬ ”自分” ですから、
自分への指差しでも大丈夫ですし、
最初から自分のことを指差していれば、
自分の話をしていることは自明なので、
ここで自分への指差しは
省いても差し支えないでしょう。
念のため2回使っても問題はない、
かなと思います。

〜(し)たい」は、
一般的に「欲しい」(口型は”キボウ”)
でも良いですし、
淡い気持ちであれば、
希望(憧れ)」としても良いでしょう。
強い気持ちであれば、
欲しいを強く表現するなり、と

➡︎ 話者の気持ちの強弱に応じて使い分ける

のも良いかもしれませんね!

まとめましょう。

:「大きくなったら、先生になりたい」

私/大人/うなずき/教える/欲しい(or希望)/(私)

いかがでしょうか?
日本語対応手話の表現では
2回使われていた「なる」が
1つも使われていません。

思うに、「なる」は視覚的に説明がつくため、
わざわざ付け足す必要がないのかもしれませんね。

ちなみに、
「なる」は英語ではbecome。
存在を表す"be"を含むので、
視覚存在(be)を認めている。
**
だから、日本語としての「なる」は、
**状態を表している手話表現に、
自然と溶けこんでしまう
のでは?

とも思っています。

➡︎ 英語脳で考えてみるのも、
    日本手話に翻訳するヒントになりそうですね〜!

あくまで、『答え』ではなく、**
『いち参考』**としてくださいね!
より良い手話表現を一緒に探し求めましょう!!

ああ幾星霜。

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