【笠沙ミライ会議的エッセイ】笠沙に眠る夢とロマン
こんばんは✩.*˚
冬の夜長に 山下宏樹さんからご寄稿いただいたエッセイをお届けです🌱✨
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笠沙を訪れると、必ずカメラにおさめる景色がある。
鹿児島市から伊作峠を越え、加世田の街を通過するとほどなくして
クジラのモニュメントがある大浦の物産館にたどり着く。
さらに物産館を過ぎ、カーブにさしかかった瞬間
右手一面に越路浜と東シナ海の大パノラマが視界に飛び込んでくる。
海の向こうには、やさしいシルエットをした野間岳と
その麓に小岳と呼ばれる小高い丘が私を出迎えていてくれるのだ。
この越路浜から望む野間岳と小岳の景観をカメラにおさめるのが、私のルーティンとなっている。
話は変わるが、学生生活最後の夏のこと。
ふとしたきっかけで、父と笠沙にまつわる神話についての話題となった。
話がはずみ、父はとんでもない持論を語り出したのだ。
それは「野間岳の麓にある小岳は前方後円墳である」というもの。
父は、越路浜から撮影した野間岳と小岳の写真を手にしながら、熱く力説していた。
多分、私はその父の話をとんでもない話だと思いながらも、目を輝かせながら聞いていたのだろう。
夏の終わりを待たずして、私は父とともに当時住んでいた千葉から笠沙へと旅立った。
もちろん、小岳の真相を確かめるために。
残念ながら小岳に登ることは叶わなかったが
野間岳の山岳信仰
黒潮による交流や貿易
さまざまな神話や言い伝えなど
現地で直に見聞きすることができた経験は、かけがえのないものとなった。
そして何よりも、世界の中心かと錯覚するほどの野間岳山頂からの絶景や
太陽は今日で燃え尽きてしまうのではないかと不安になるくらいオレンジ色に染まった
黒瀬海岸から見た落日に、私の心は激しく震えた。
"笠沙の地には、黒潮に乗って海を渡ってきた人々の夢とロマンが眠っている"
と、旅が終わる頃になると私もすっかり虜になっていた。
あれからもう20年以上が過ぎ
私は鹿児島に移住して十数年になる。
きっとあの夏の出来事によって、私の遺伝子が覚醒したのだと思う。
今では笠沙を訪れるたび、越路浜から野間岳と小岳の景色をカメラにおさめる。
そして、その写真を父にメールする。
この1枚の写真には、私と父との笠沙に対する夢とロマンが詰まっているのである。
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野間岳や小岳は、笠沙の移り変わりを
どんな風に見ていたのでしょう。
1番そばにあるものを振り返るきっかけとなるような、ステキなエッセイをありがとうございました🙇♀️✨
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