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研修医になる前に本を5冊だけ買うなら何を買うか考えてみた

 初めましての人は初めまして。重涅 扇と申します。
 いきなりですが研修医向けの参考書ってたくさんありますよね。これから研修医になる人にとって何を買うか悩むポイントだと思います。かといってネットでおすすめの参考書を探しても分野別に多くの参考書を紹介され、結局どれを買うか絞り込めない方も多いのではないでしょうか(たぶん)。

そこで

 今回は数ある研修医向けの参考書の中から独断と偏見で「まずこれを買っておけば業務は回せる」的な参考書を5冊ピックアップしてみました。
 この記事がこれから研修医になる人の参考に少しでもなれば幸いです。

0. この記事の内容について

今回取り上げる参考書は自分が読んだことがある本で

①幅広くどこの科でも役立つ知識を得ることができる本
 →コスパがいい本
②あんちょこ的に使用できる本
 →もしもの時またはど忘れした知識を再確認できる本

が選ぶ基準になっています。
 本の内容は極力被らないように選んでいます。また、一部の本を除き対抗馬になりうる参考書もピックアップしました。
 また、リンクは可能な限り医書.jpのリンクを使用しています。このサイトは会員登録すると数分だけではありますが本の中身をすべて試し読みすることが可能です。立ち読みすることに抵抗がある方や近くで見つけられない参考書を確認するときに便利なので、よろしければぜひ使ってみてください。

1. 内科レジデントの鉄則 第3版

 私見ですが、下手な参考書を買うくらいならこの本でしっかり勉強するほうが圧倒的にいいです。それくらい個人的にはおすすめできます。基本的に内科入院患者の管理に関する本ですが症候学に関する内容は救急外来にも応用が効き、輸液や栄養、抗菌薬や血ガスなど初期研修以降に重要視される内容も簡潔にではあるものの一通り揃っています
 私も数え切れないひどお世話になっています。
 この本の中身をすべて修めることができればそれだけでも研修医としての機能を十分に身につけることができるでしょう。
 この本の対抗馬となりうる本は個人的にはないと思います。ステマみたいですがそれほどおすすめできる本です。

2. 当直医マニュアル

 ザ・あんちょことも言える救急外来の本。内科救急から骨折などの対処まで救急外来で遭遇する大抵のトラブルにこの本で対応可能だと思います。救急外来の考え方を勉強すると言うよりは救急外来でどのように動くべきかについてフォーカスが当てられた本だと思います。薬に関しても薬品名だけでなく用量も書かれているため非情に便利です(慣れない間は、薬の処方に関して上級医と相談して決めるほうが無難です)。
 サイズが非常にコンパクトで持ち運びがラクなのも評価ポイントです。
 私も救急外来で困った時はこの本でささっと知識の確認をしています。
 しかし、私の先輩は「便利だけど意外と間違ってるところもあるから気をつけてね」と言っていました。便利な本ではありますが闇雲に頼るのは危険かもしれません。
 対抗馬としては京都ERポケットブックあなたも名医!もう困らない救急・当直 ver.3などでしょうか。
 また、救急外来の参考書として上級医の先生のおすすめは救急外来 ただいま診断中!でした。私は「あなたも名医!もう困らない救急・当直 ver.3」で勉強していましたがこちらも非常に勉強になります。

3. 日本語版 サンフォード 感染症治療ガイド

 感染症版ザ・あんちょこ。とにもかくにもどの抗菌薬を投与するべきか検討したい時に便利な本です。感染症から予想される起炎菌と使用が推奨される抗菌薬が掲載されている他、細菌ごとの抗菌薬の感受性・使用が推奨される抗菌薬、腎機能障害時の抗菌薬の使用量など感染症治療に関する情報が用量を含め網羅されています
 また、こちらもERマニュアル同様コンパクトで持ち運びに便利です。
 指導医に「先生、この時抗菌薬は何を使えばいいと思う?」と聞かれた時などにこの本にはお世話になりました。
 しかし、抗菌薬に関する基礎知識を習得する事はできないため別途勉強用に何かしらの本を買うことをおすすめします。また、名前の通り元々は海外の本なので、この本の内容をそのまま日本の医療に当てはめることができるとは限らない点にも注意が必要です。しかし、上級医に使用する抗菌薬について相談する前に参照する本としては便利な一冊であると思います。
 対抗馬としては感染症プラチナマニュアルがあります。こちらは感染症の勉強もできるので、最初に買う本としてはこちらのほうがベターかもしれません(実際にこの本を買って読んだわけではないので今回の選考からは外しましたが、私が今から感染症の参考書を買い直すなら感染症プラチナマニュアルを買うと思います)。
 かくいう私はねころんで読める抗菌薬で抗菌薬の勉強をしていました。情報量では感染症プラチナマニュアルが上だと思いますが、挫折しそうで不安な方にはこちらから勉強を始めてもいいかもしれません。

4. 診察と手技がみえる vol.2

 研修医の山場の一つである手技。手技に関する本は色々ありますが、この本は豊富な写真を使って手技の流れを説明しているだけでなく、注意すべき点や合併症などに関する内容も豊富であるのも注目ポイントです。
 私は手技が上手くいかない時にこの本で手技の流れを確認することもしばしまありました。
 対抗馬としてはねじ子のヒミツ手技があります。中身に関してはこちらが参考になります。手技に関してコミカルで見やすいマンガスタイルで紹介しており、とっつきやすさばこちらのほうが上です。また、アプリ版もあるようですので気になった方はググってみてください。

5. CT読影レポート、この画像どう書く?

 最後は画像診断の本にしましたが、これは完全に私の好みです。
 個人的には1~4までは他の参考書より優先して買うべき理由や直感に近い何かを感じて選びましたが、5冊目に関してはなかなか選べませんでした。
 こういう事を言ってしまうとあれですが、5冊目は自分の関心がある領域の本を買うのがいいのかもしれません。救急外来の知識を補強するのもよし、カルテの書き方を勉強したり、(初期研修医としては)マニアックな領域を開拓したり内科の勉強、血ガス人工呼吸器の勉強もいいかもしれません。勉強することが多くてイヤになるかもしれませんが(^_^;)。
 こちらの本をおすすめした理由としてはCTに関する知識だけとはいえ頭部から胸部、腹部・骨盤部、腸管、血管と広い領域の画像診断に関する知識がわかりやすく網羅されているからです。私見ですが、様々な領域の画像診断について網羅されている本は意外と少ないので一冊持っていると日々の臨床で非常に重宝します。
 ちなみに個人的に他の候補として考えていたのは、レジデントのための これだけ心電図レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室があります(心電図や胸部単純X線写真は様々な科で必ずと行っていいほど目にするので基本的な部分を押さえると役立ちます)。

その他の本について

 レジデントノートは研修医向けの雑誌です。いろいろな研修病院に置いてあるため見たことがある方も多いのではないでしょうか。
 レジデントノートは基本的な知識を深めるという点において参考書と比べて物足りなさを感じることも少なくないですが、参考書だけでは習得することが難しい内容の特集や勉強が難しい領域の足がかりになる特集があったりと痒い所に手が届く内容も多く見られます
 自分が研修する病院にレジデントノートが置いてあるようであれば、どういった特集があるか目を通しておくと困った時に役立つかもしれません。

おわりに

 さていかがでしたでしょうか。今回取り上げた参考書は他のサイトでも取り上げられている本であり、決して目新しいものではありません。しかし、今回取り上げた参考書は、実際に研修医として働き始めるにあたって、実務的な面ですぐお世話になる本をピックアップできたと思います。
 とはいうものの、今回取り上げた参考書はあくまで業務をこなすという点に注力してピックアップしたものであり、医療行為を行う上で背景にある考え方を学ぶ参考書とは限らないことには留意してください。
 この記事を最後まで読んでくださってありがとうございます。今回取り上げた本以外にも良い参考書はたくさんあるので、研修医として働く中で「もっとこの内容が知りたい」と思った時は参考書を探してみてください。

 この記事がこれからのレジデントにとって有益な情報となれば幸いです。

重涅 扇 Kasane Ougi

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