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アルバム落穂拾い(2024年春)

映画をたくさん観たい時期、小説を大量に読みたい時期、ただひたすら散歩だけをしたい日、YouTubeで雨穴さんの動画ばかり見てる日。わりところころモードが切り替わるので扱ってる記事のジャンルも雑多になりがちなのですが、今回は音楽です。ここ最近聴いて「好きー」となったアルバムを適当に選出してみました。てかサムネで拝借したこの絵、いらすとやさんにあった「ペンギンのバンド」という絵なんだけど、いったいどういう経緯で描かれたものなんだろ。ペンギン好きだしかわいいから使わせてもらったけどよく考えたら謎。

缺省『共同的土地』

きつねがジャケットになっていたので聴いてみたら案外よかったやつ。やさしい歌声と浮遊感のある演奏が特徴で、シューゲイザーとかドリームポップが好きな人なら気に入りそう。中国のバンドが出した作品ということもあって、歌詞はよくわかんないけど、モノクロのきつねをジャケットにしてるくらいだから多分なんか素敵で良いこと言ってるんだと思う(意図的な曲解)。聴いてるとうっとりしてきて眠っちゃいそうになる、そんな心地のいいアルバムでした。


samlrc『A Lonely Sinner』

なんだろうこれ。インスト多めでたまに入ってくるボーカルの声とか呻るようなコーラスの声が妙に耳に残ります。しっとりとした雰囲気のおだやかな曲もあれば、暴風のように激しい音が響き続ける曲もあり、ジャンルとしてはシューゲイザー、あるいはアンビエントに属するのかな。歌詞がほとんど無いのに(無いから?)エモーショナルな気分になります。えー、いいじゃんこれ。すきな音だ。例えるなら台風の目の中で凪を感じているような……。激しい感情を抱えているのに一方でそれを俯瞰しているとでもいうか……。いや、こういうふわふわした感想はやめた方がいいか。とにかく気持ちいいですこのアルバム。気に入りました。NINの『Still』に近い、豊かで切実な音の風景が見えてきます(やっぱりふわふわした感想になってる)。
漫画っぽい絵の描かれたアルバムジャケットと、感情的で凶暴な音がアンバランス。これは狙ってやってるのかしら。


The Smile『Wall of Eyes』

トム・ヨークがレディオヘッドから場所を移して出したアルバム。おそらくトムはすごくリラックスしてこのアルバムをつくったんじゃないかな。そんなふうに感じてしまうくらい、全体にくつろいだ雰囲気が漂っています。チルい。チルいわー。曲に内包される頽廃的でサイケデリックな音を聴いてると、なんかぜんぶどうでもいいやって気分になってくる。逆にいえば『OKコンピューター』や『KID A』みたいな社会性はあまり感じられず、なにかに切り込むような迫真性もありません。てかそういうのを求めるのはお門違いか。これは一種のヒーリングミュージックであり、核心に迫ることを拒み、ゆらゆらと踊ること、それ自体を目指した作品だと思うから。


以上、最近聴いたなかで傘籤が気に入ったアルバムでした。
音楽といえば今年のドラえもん映画のテーマも「音楽」でしたね。漫画の方だとジャイアンが歌を歌うときって「ホゲ~」とか「ボエ~」という独特の擬音で彼のすさまじい歌声を表現してますが、あれ結構発明だよなーと思います。だって「ホゲ~」って書いておけば「ああ、この人の歌声はひどいんだな」とわかる仕組みになってるわけで、実はすごく便利だもんね。他のパターンとして「ボゲ~」とか「ホゲエ~」とか「♪」マークだけみたいなのもあって、変り種だと「ギア~」なんて擬音が使われることもあったりする。私が一番すきなのは「ホゲ~」かな。いびきみたいな煩さに加えてちょっとかわいげがあるのが良い。にしても「ギア~」はすごい。耳障りな騒音感出まくってるし、人が出せる声じゃない印象も強い。藤子先生はなにをもってこの擬音を思いついたのだろう。
あと、『ジャイアン殺人事件』の話で、のび太が「いつもふしぎでしょうがないんだけど・・・。ジャイアン本人はどうしてあのすさまじい歌にケロッとしていられるんだろ」とドラえもんに聞く場面がありまして、これに対するドラえもんの「あたりまえだろ、フグが自分の毒で死ぬか!?」という回答ほんとすき。やっぱドラえもんって最高だわ。作中でも屈指の名言でしょこれ。自分もこれくらいセンスのいい返しができるようになりたいもんだ。
……なんかこのまま行くと本編のアルバム紹介より長くなりそうなのでこれくらいにしときます。まあつまりこの記事で言いたかったのはドラえもんは面白いんだよ、ということなのでした(ええ?)


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