My Book of the Year
『三体III 死神永生』劉 慈欣
超絶怒涛の大傑作。バカバカしいほどの大風呂敷を広げながら、奇跡的なバランスで見事に物語を折りたたんだ三体シリーズの完結編。読み終えたとき「SF小説を好きでよかったな~」と心から感じ、ただただ幸せだった。
『異常【アノマリー】』エルヴェ・ル・テリエ
小島秀夫が絶賛してるのを聞きつけてほいほい読み始めた本。すーごく面白いけど人にすすめづらい本ではある。中盤のどたばた感がたまらなく好き。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディ・ウィアー
読みやすいハードSF。そしてロッキーを愛でる小説。
今年福島で開催された日本SF大会に行った際、この本を深堀する会に参加したのだが、参加者みんなの共通した感想が「ロッキーがかわいい」だったのはいい思い出。
『動くものはすべて殺せ』ニック・タース
今年は世相的なことも影響して戦争について考えたり、調べたりすることが多かったのだが、これはそんな中で出会った本。
ベトナム戦争におけるアメリカ軍の非戦闘員への残虐な行為を明らかにしたルポルタージュです。戦争がいかに”人間性”や”道徳心”をはく奪していくか、そしてその行きつく先がタイトルの「動くものはすべて殺す」という事実。本書に書かれているその覆い隠されていた内容は非常に重く、読むのに体力のいる本ではある。しかしこれは今も現実に起こっていることだし、「知っている」ということは物事の見方を変える力になると思うのだ。
『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』長谷 敏司
ロボットとダンスする楽しい小説だよ!嘘じゃないよ!!
『いずれすべては海の中に』サラ・ピンスカー
奇想と抒情が違和感なく同期したSF短編集。Twitterで今年一番いいねをもらえた読了ツイートはこの本。正直あまり考えずに投稿した文章だったので未だになんであんなにいいねをもらえたのか謎。
『アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風』神林 長平
雪風シリーズ最新作。「神林先生…!雪風が読みたいです…」と思ってたけど、まさか10年以上待たされるとは思ってなかった。でも期待通り面白かったぞ! ていうか前作の『アンブロークンアロー』に比べて戦闘シーンが多くてエンタメ度高いので、もっと多くの人に読まれてほしい。
『みんなが手話で話した島』ノーラ・エレン・グロース
フィールドワークを通して「言葉」と「障害」、そしてその境界線の曖昧さを見つめた本。
『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』ジェイムズ・ラヴグローヴ
ホームズ×クトゥルフを悪魔合体させた小説。「作者、悪乗りしすぎだろ」という感情と「いいぞもっとやれ」という気持ちでわくわくしながら楽しんだ。続きを、続きを早く読ませてくれーっ。
『地図と拳 』小川 哲
歴史小説っぽいけど、空想小説でもある。アクの強い登場人物が多く、みんな少しずつイカれてるのが私好みでした。
日本SF大会で小川先生からもらったサイン色紙は宝物です。
『運動の神話』ダニエル・E.リーバーマン
みんなが信じてる「運動」の良さってどの程度が適切で、どれだけ正しいものなの?って疑問を人類学者の視点から紐解いた一冊。この本は「運動はしたくないと思って当然」というスタンスで書かれているので気持ちが軽くなる思いだった。
つまり運動なんて無理にしなくていいのだ(意図的な誤読)。
以上、全部で11冊。今年は豊作だったなあというのが実感です。他にも面白い本はたくさんあったけど上にあげた本は特に心に残るものがあったので選びました。つうか去年以前の本もあるじゃん、というのはご愛敬。
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