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『バービー』観てきた。

初日に鑑賞。まあまあ混んでたし、男性客も結構多かった。ピンクを基調としたバービーランドの世界観がとっても華やかですわ〜。「人形」を「人間」に置き換えてドールハウス遊びをやってるわけなので、はじめのうちはリアリティラインが掴めず面食らう。だって水が入ってないコップを口元に寄せて「飲んだ」ことにしていたり、わざわざ階段を使ったりせず魔法のようにふわりと地面へ飛び降りたり、そういう夢の世界が絶妙なラインで広がってるんだもの。でもその現実と空想とのバランスは独特で、下手なファンタジーよりよっぽど”異世界感”がありちょっと興奮した。全てがバービーたちにとって理想的で、そんな毎日が繰り返されるわけですが、ある日主人公のバービーが「死」について考え始めてから世界は一変してしまう……。

主演のマーゴット・ロビーは相変わらず美しく可愛いですねー。立ち振る舞いや、表情の演技ひとつとっても人間でありながら「バービー」としての佇まいが見事に表現されてて、まあーすごいです。彼女の着せ替えもこの映画の見どころでどれも素敵。あと途中結構シリアスな場面でご本人の名前を使ったナレーションギャグを入れてきたのには声出して笑いました。そしてこの映画のもう一人の主人公ケン。彼は後半物語を引っ掻き回す役割を持っており、バカだアホだと言われちゃってますが、あのバービーランドは現実の男社会を反転させた構造の世界なので、そういう目線で見ると彼への感じ方も変わってくるかと。私は、無垢な存在であるケンが「ミソジニー」というものを知って豹変してしまう姿に正直胸が痛くなりました。

ワーナー・ブラザーズやマテル社をいじったギャグもぽんぽん挟んでくるので、全部を理解できたわけでは無いけれど楽しい。というかそれ以上によくこんなメタメタでドタバタなコメディ作れたもんだとそこに感動。結構意図的に『トゥルーマン・ショー』や『マトリックス』のパロディっぽい描写を入れてて、そこら辺もSF者としては嬉しかったな。この作品はそれら先行作品とは逆で「架空の存在」が現実(彼らからすれば現実こそが架空の世界となるわけですが)に足を踏み込み、そこから元の世界に帰るというお話になってます。

作品はコミカルで明るい色合いに満ちていますが、内容的には現代の資本主義社会で女性が生きていくには、あらゆる点において欠陥が多すぎるということを描いています。「女性である」それだけでいまの世界はあまりにも多くのことを役割として課しているし、それらは明文化されない「空気」として形成されているからなおタチが悪い。そういった現代的なテーマを内包しつつ、エンタメとしても中々上質なので、下手くそなプロモーションでついたおかしな印象に惑わされずみんな観に行きましょう。

他の文章を書いていたら煮詰まってしまったので、代わりに最近観た映画の感想をアップ。他のサイトに掲載してたのを見なおしたらなんだかしまりのない文章に見えたので少し修正してみる。ん~、でも相変わらずだらだらした感じはあるなあ。いや、それはそれでいいのかもしれないけど、真面目にも遊びにも振り切れていないどっちつかずな感じがなんとも……。でもこれはこれで需要があるのかしら、と思い掲載してみる。あ、書いてなかったけどシム・リウめっちゃよかったです。もしかしたらこの映画一番の萌えキャラは彼かも。

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