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安いニッポンの元銀行員エンジニアとして考える

いまだ昭和の香りが残る働き方の銀行員と、エンジニア両方を経験した自分が、『安いニッポン』を読んでいろいろと思うところがあったので感想をつらつらと書きます。

日本の労働生産性が低い問題

前々からなんでだろう、と思っていた部分。スッキリしました。
内容を定着させるためまとめます。

原因の1つは、人工知能、IT等の専門人材を育成する機能が大学や企業にないこと、だと指摘されてました。
大学に関しては、研究者への待遇が圧倒的に悪いという話もあるし、
企業に関しては、新卒一括採用で、長期的にジェネラリストに育てるメンバーシップ型の育成ではトガった人材を育てられないみたいです。

他にも、生産性を図る上での計算材料となる付加価値の部分にも原因があるという指摘もありました。日本では長いデフレで消費者が「モノは安ければ安いほど良い」というマインドになっていて、いいものをつくっても高い値段をつけづらくなっている、という指摘もありました。

前者でも登場している、日本特有のメンバーシップ雇用は後者にも効いてきてます。
日本のルール上、解雇を簡単にできないので、企業はまず人件費をカットできないものとして見積もらないといけない⇨
そうなると安定的な売上高をまず確保する必要がある⇨
コストカット+市場に受け入れられる低価格で売る⇨
よりデフレマインドが強まる
という構造があるとのことです。なるほど。

生産性問題は、「無駄な会議が多い」とかはよく聞いてましたが、本当にそれだけ?外国の人たちどんだけ効率的な頭してるの?と正直思っていたので他にもいろいろあるんだなという点を知れてなんか安心しました。

(元)銀行員として思うこと

前職はバリバリメンバーシップ型雇用のメガバンクでした。

営業畑の知り合いが多かったですが、知ってる限り、活躍してる人で年収アップの転職した人はレアでした。

用意されるシナリオ
会社に入るとみんな会社が用意する何パターンかの成功のシナリオに向けて頑張ります。

花形部署に異動することは成功であり、異動の時期になるとみんな目をキラキラさせて噂話に花を咲かせるのが恒例行事でした。
そんなシナリオの中、体力、精神力を絞り出しながら毎日迫ってくる期限に追われ続けます。
仕事で毎日HPを使い果たすので、自分の報酬はフェアなのか?とか本当に出世が自分にとっての幸せなのか?とか考えるのは結構難しいと思います。

やりたいこともなく、なんとなく働いていた自分みたいな人は、シナリオにそって仕事をしていればちゃんとして見えるので、助かる部分もありました。
そう見えるのは社会全体に、サラリーマンを頑張って、家庭を持ち家を買う、みたいな成功像が認められてるからだと思います。
社会の雰囲気も変わっていく途中ではあると思いますが、生産性アップへの道はまだまだ遠いんだろうなと思いました。

エンジニアとして思うこと

優秀な人材は海外に流出していくと書いてありました。
また、他の商品と同様「安かろう良かろう」の労働力も買われ、オフショア開発が日本で行われる、という話を最近聞きます。

30歳直前ひよっこエンジニアとして、選択をミスれない危機感を感じます。
コードを書くことは好きなので、買われようがなんだろうが楽しく仕事ができるのかなと思いますが、
海外旅行が高くなりすぎていけない、というのは悲しいなと思います。

どこで働くにしても、自分はこれができます、という分野を毎日増やすところから頑張っていきたい。

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