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遅れてやってくる感情に

タイから帰国してまず、2週間の自主隔離生活に入った。そのあと、民泊やホテルでの暮らしを経て、新居に引っ越しをした。

タイに住んでいる間、本棚やソファやテーブルなどの家具は実家であずかってもらっていて、家電や寝具だけは買いなおすことになっていた。

お気に入りの家具たちとの再開を楽しみにしていたけれど、引っ越し当日、約5年ぶりに見た家具たちは、自分の記憶よりも劣化していたり埃をかぶっていたりして、ショックだった。
でも手入れしたら、また見違えるように活きいきして、やっぱりしっくりきた。

引っ越し繁忙期というのは、家電屋さんや配送業者も繁忙期なんだ、ということを今回改めて思い知らされた。
引っ越し日までにマットレスが揃うか、とやきもきし、冷蔵庫は間に合ったけれど、洗濯機は次の日になったりしながら、タイでのサービスアパート暮らしの気軽さを思った。

サービスアパートは、家具、家電つきのホテルのようなもので、電気や水道の個別契約はいらない。契約日に身ひとつで、住み始めることができる。
駐在する人の多くは、コンドミニアムにしろ、サービスアパートにしろ、家具家電つきの物件に住む。


家電量販店や楽天やアマゾンから何かしらが届く日々がやっと終わって、銀行やカード会社の住所変更手続きが終わり、使っていなかった口座を解約し、5年ぶりに春服を新調した。

注文したときは、「そんなに待たなきゃ行けないの?」と思ったオーダーカーテンも気がついたら受け取り日がやって来て、今では最初からそこあったかのように部屋に馴染んでいる。サラダ油、醤油、料理酒からそろえ始めた調味料たちは、豆板醤、オイスターソース、バルサミコ酢などの仲間も加わって、心強い品揃えになった。

そんなタイミングになって、やっとタイの暮らしへの喪失感がやってきた。
私は、いつも遅れてやってくる感情に困惑してしまう。
卒業式や送別会で、涙も流さず、淡々としている私は、皆が次の環境に馴染んだ頃に、心細さにひとりメソメソしてしまったりする。

強い日差し、ラフな服装、朝晩の気持ちのいい風、
マッサージ、送迎のトゥクトゥク、フードコートの匂い、くだもの
リバーサイドの風景、船にゆられた時間、ルーフトップバーからみたバンコクの中心街、タイ語なまりの英語、渋滞、

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色々なものがなつかしく、もうその生活の中に私はいないんだ、ということをやっと実感して、今、タイが恋しい。

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