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読書ログ①「ある行旅死亡人の物語」(ネタバレあり)

こんにちは、Kasaです!
今回は、「ある行旅死亡人の物語」について感想書いていきます!
それではよろしくお願いします!

あらすじ

現金3400万円を残して孤独した身元不明の女性、 
あなたは一体誰ですか?   

はじまりは、たった数行の死亡記事だった。警察も探偵もたどり着けなかった真実へ――。 「名もなき人」の半生を追った、記者たちの執念のルポルタージュ。ウェブ配信後たちまち1200万PVを獲得した話題の記事がついに書籍化!

2020年4月。兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死した。 
現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑鑑......。   
記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出す。舞台は尼崎  
から広島へ。たどり着いた地で記者たちが見つけた「千津子さん」の真実とは? 
「行旅死亡人」が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた圧倒的ノンフィクション。  

通販サイトAmazonより

購入理由

この本は、『本ツイ!-本屋についていって、1万円あげたら何買うの?-』という企画で購入しました。
Youtubeチャンネル『出版区』で出演した大島てるさんも手に取られた本で、面白そうと思い、読んでみたいと思いました!

感想

一気読みしてしまいました。
それくらいこの女性は誰なのか、どうして身元を隠すような生活を生前送ってきたのか、どんな人物なのか知りたくて、文章を読み進めました。
そしたらあっという間に読み終わってしまいました。

著者が二人して、その二人の視点からその女性の正体を見つけようとしたこと、感じたこと、思ったこと、実際に行ったことなどが書いてありました。
ノンフィクション作品とは言え、それまで二人が携わっている作品は読んだことがなかったので、新鮮でした。

部屋の中にあった「沖宗」というハンコをもとに身元を突き止めようとして、結果女性の身元が判明した時は、思わずすごっと小声が出そうになりました。
警察や探偵が調べつきしたのにも関わらず、記者二人が執念の思いで正体を突き止めたのは記者魂と言わざるとえません。

正体を見つけたとは言え、記者はそのあとが重要であり、どうして身元を隠すような生活を送っていた意味を探すために四方を駆け巡りました。
そこで幼少期暮らしていた場所、友人、人物像、職場の関係など絞り込むことができました。

聞き込みは大変そうでしたが、いろいろな人のつながりがあったことで、バラバラだった情報が一つになっていく過程が続きを読みたいと狩り立たせたかもしれません。

とある身元不明の記事一つから、ここまでのストーリーができるのは、その人の人生が確かに存在し、それを紡ぐ人がちゃんと現実に存在したことの証明だと感じました。

しかし、結論からいうと、女性の正体はわかったけど、どうして身元を隠すような生活を送っていたのか、莫大な現金やロケットペンダントなどの意味深な所持品については何もわかりませんでした。

最後はもやもやするような書き方で、どうして人目を気にして生活していたのか、なぜ莫大な現金が手元にあったのにも関わらずボロアパートに生涯住んでいたのか、男性の正体はいったい何者だったのか、わからずじまいです。

だけど、これがノンフィクションの醍醐味なのかと思いました。
これで全部わかりました!事実はこうです!てわかったら、それこそフィクションの域になってしまうのではないのかなと思います。

一番印象的な文は、一番最後の文です。
「あなたに一目、会ってみたかった。」

これが作者の本音だと思います。
確かに著者は女性の行旅死亡人の記事から、女性の身元を調べ、人物像や幼少期を知ることができた。

だけど、その女性の生きた姿を見たいのではないかと感じました。
そして問いたいのではないか。

「あなたはどんな人ですか?」と、彼女自身の言葉で聞きたかったのではないかと。
その文章を読んで、グッと込みあがるような感情を感じました。

まとめ

この作品はネット記事の反響から一冊の本として形になりました。
圧倒的なノンフィクション作品で、知りたいという気持ちで次々とページをめくっていました。

人の人生は亡くなってからも終わらない。
むしろ始まることさえもあると感じました。
だけど、矛盾しているけど、二度と戻れないからこそどうやって生きるか、という尊さもある。

結局は謎のまま終わったしまった本作だが、全部判明したらそれはフィクションになってしまうのではないかと思うので、これでよかったのかもしれないと感じてしまいます。
事実は小説より奇なり、という言葉があるように人の人生は千差万別だと感じました。

最後まで読んでくださってありがとうございました!
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