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欲が無いと果てる

「欲を捨てなさい」
あらゆる宗教から現代のスピリチュアル、そしてミニマリストの若者まで、古の時代から現代まで脈々と受け継がれてきている人間の精神レベルを高めるための真理である。

そんな真理に対して、私は「待った」をかけたい。

私はこの「欲を捨てなさい」という真理を否定したいわけじゃない。
ただ、若いうちにこの真理に至ってしまうと、少々やっかいなことになる。

端的に言うと、欲を捨てると無気力になる。
そして、無活動の状態に陥る。

人は「あれが欲しい」、「これがしたい」と思うとき、活動の源が生まれる。
その源泉から湧水のようにエネルギーが溢れ出てくるものである。
「欲を捨てる」とは、その源泉の蛇口を左に捻ることを意味する。

極楽浄土の世界ではその状態でも心地良いかもしれない。
しかし、私たちが生きるこの世界は物質の世界であり、欲が欲を回す世界でもある。
「あれが欲しい」、「これがしたい」という思いが世界を回している。
そのサイクルを自ら止めるということは、エネルギーの流れに乗れずに苦しむ羽目になる。

ただ、そのエネルギーの流れに乗るのではなく、巻き込まれることになると、それもまた苦しみに繋がってしまう。
欲に回され、欲に溺れるからである。
溢れ出る純粋な水流が、荒れ狂う濁流になってしまっては元も子もない。

そこで、「欲を捨てなさい」ではなく、「欲を使いこなしなさい」という考え方が肝要である。
欲を確かめ、欲を見極め、自らが欲を掻き混ぜるのである。お味噌汁のように。
自分の好きな出汁で、好きな具材を入れ、隠し味を加えてみてもいい。




そうしたオリジナルのお味噌汁が出来上がれば、スカスカで味気ないこともなく、入れすぎてこぼれてしまうこともなく、きっと自分のペースで美味しくいただけるはずである。

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