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かっこよさに惚れる
風邪をひいてしまい長引くのどの痛み。
のどの痛みと共に覚める朝ほど、健康がどれほど幸せなことであるか考えさせられる。
年齢が上がるほど痛みへの耐性ができていくのは、良いことなのか悪いことなのか分からない。
かっこいい人は世の中いくらでもいる。
それでも数日前、人のかっこよさに惚れる場面に立ち会った。
それはバスに乗っている時の話。
コロナが緩和され徐々に増えている観光客と地元民で、バスは常に満員状態。座れることはほとんどないため、いつも通り諦めてバスに乗り込んだ。
1人前に乗り込んだ高齢の女性が吊革に手をかけようとした瞬間。
座っていたそれより少し若く元気に見える男性(60代くらい)が、席を譲った。
一切の躊躇を感じさせず、さも当たり前のように。
かっけー。まじかっけー。
幼稚な言葉だが、本当にそう思った。
そして、その男性が下りるバス停が近づき、人と人との間をかき分け、バスの前方に進む。
別の座っていたおじいちゃん(足が悪そうにされていた)も同じバス停で降りようとする。
満員状態ゆえに、通路はほとんど空いていない。前方には外国人の方が何人か立っていた。背後からの人に気づき避けようとする。
その時、おじいちゃんが通路を少しだけ、ほんの少しだけ塞いでいる外国人に「邪魔だ、どけ」と怒鳴る。困惑する外国人。
しかし、そこでさっきの男性が、「俺に着いてくればいいじゃないか。邪魔じゃないだろ」と注意した。そして、外国人の方に大丈夫だよ、ごめんねとアイコンタクトをした。
その瞬間に、かっこいい人ってこういう人のことを言うんだなと腑に落ちた。
自分より弱い人には優しく、強い人には強くある。
周りを気にせずに、いつも通りに行動する。
そのかっこよさに惚れる自分がいた。こういう人でありたいなと。
さらに幸せなことは続く。
その後、別の女性が別の女性へ席を譲っていた。
その後の4日間でその光景をあと3回も見た。
自分が目を向ければ見える幸せと惚れるかっこよさはいくらでもあるのだなと心から思う。あの時に遭遇した光景、あの男性のおかげで、見える世界が少し変わった気がする。
本当のかっこよさとは滲み出るもの。
そして、どうしようもなく惚れてしまうもの。
今度は自分がそのかっこいい人になりたい。
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