ひとの大事なものを大切にするということ(初心者の映画制作講座)
今回はいつもより、ちょっと辛口でいきます。
ずいぶんと前のことになりますが、
ビデオカメラを貸したあと、戻ってきたカメラバッグを開けてみたら、レンズがむき出しで入れられているのを発見したことがあります。
当時、貸した相手に怒り心頭で抗議しました。
ビデオカメラは、レンズの交換ができません。
つまり、レンズが使えなくなったらそのカメラは「おしまい」なんです。
以来僕は、気軽に「カメラを貸して」と言う人とは付き合わない、というマイルールを作りました。
監督にとって、カメラというものがどれだけ大切なものか。
大げさですが、撮影現場においては、監督の命の次に重要なもの、くらいの感はあります。
深く考えずに、それを貸してくれ、と言うひと。
もちろん例外はありますが、こういう人はたいてい、相手の大事なものに気付けない人なんです。
僕は、気遣いのできない人はスタッフにはしません。
生まれたばかりの赤ちゃんを貸して、という人はいないでしょう。
相手がどんなにすごい経験を持った人であっても、僕はその知識経験以上に、気遣いができるかどうかを優先させます。
絶対に。
以前読んだ、イギリスのある映画監督が書いた本の中でも、カメラを雑に扱うスタッフに激怒するくだりがあり、共感しました。
とは言え、逆のこともありました。
僕の使っていたカメラが壊れ、新しいカメラを買う余裕がどうしてもなかった僕は、友人のご両親からビデオカメラをお借りしたのです。
ところが、ケーブル接続のゴムカバーが取れてしまった。
返す際にその旨を伝えると、機能・性能に影響する部分ではなかったためか、「別にいいですよ」と友人伝えで返事をいただきました。
僕はそのカメラで撮った作品を送り、手紙で謝罪をしました。
映画づくりは、知識だけで成り立っているわけではありません。
監督をするからには、みんなが手伝いたくなるような環境を準備すべき。
そのために、ささいなことだけど、みんなの気持ちや大事にしているものに気付ける心遣いが大切だと思うんです。
ちなみに、
友人のご両親のカメラを壊してしまった件には後日談があります。
何年も後、その友人の結婚式にて彼のご両親に直接謝罪することができたのです。
カメラの損壊については覚えてらっしゃらなかったようですが、作品は覚えていてもらっていて、感想を聞かせてもらい感激しました。
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