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「ジョルジュ・ルオー ―かたち、色、ハーモニー」(パナソニック汐留美術館)

パナソニック汐留美術館では常設展示でおなじみのルオー。今回はそんなルオーの初期作品が観られる貴重な機会でもあります。

国立美術学校でモローの下で絵を学んだルオーの初期作品はプッサンやコローなどにも例えられた、良くも悪くもアカデミックなもの。しかし、セザンヌの水浴図を観たことで、彼の画風は大きく転換していきます。彼はセザンヌ的に色や形態(構図?)を追いつつ、ステンドグラス職人としての経験等を作品に反映、宗教がが描かれなくなった時代にキリスト教の題材を積極的に手がけ、いつの誰とも違う独特の画風を追求していきました。

個人的には芸術をよく知らない当初からルオーの荒々しいタッチは認識していて、「なんかすげぇな…」とひたすら驚くばかりでしたが、見慣れていくと見た目以上に静かな、一種の「純粋性」というようなものに今度は驚かされていきます。眼鏡を外し、原色に近い色彩のせめぎ合いを観ていると、そこからはルオーが作品と対峙した「歴史」が浮かんでくるようですし、またそれぞれの色同士が個性を発揮しつつひとつの演奏として調和する、粒だったオーケストラのようにも感じました。描かれているものはルネサンス以前のイコンのようでありながら、現代の抽象絵画にも繋がる、荒々しくも攻撃的ではない、非常に深い精神性を感じる作品たちです。

もうひとつ、ルオーの作品は恐ろしくでこぼこで(単なる厚塗りという次元ではなく、紙の形状そのものが変質しています)、二次元的な画像・映像に収めきれない三次元の物質性があります。加えてセザンヌの静物画みたく、絵を観る角度で立体感が出たりするのにも気づいたり。大好きな芸術家の、新しい発見の多い展覧会でした。

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