君もきっと会社員になるので伝えておこう【第3章】マスオ、管理部門と絡む③
前回までのあらすじ。
空飛ぶ寿司の出前配達ドローンであるトローンの販売に苦戦するマスオ。事業存続の危機に直面するが、サザエの作戦でSNSでバズらせることに成功。メディアでも取り上げられ、受注が次々と舞い込んだのであった。そんな時、マスオの電話から内線の着信を知らせる音が鳴り響いた。
「フグタ君かね。わしだ、谷川だ。」
なんと電話の主は海山商事の社長、谷川であった。海千山千の交渉相手と対等に渡りあい、大口案件をモノにした功績が認められ、10年前、海山商事の舵取りを任された。この谷川が海の物とも山の物ともつかぬトローン事業を秘かにに後押ししていたことをマスオが知ったのは、ずっと後のことであった。
緊張するマスオ。「しゃ、社長。何かご用でしょうか。」
「フグタ君、トローン事業が軌道に乗ったそうじゃないか、ご苦労であった」
「トローン事業のことをご存知でしたか。それは光栄です。おかげさまで、注文が続々と入っております。」
「でだな、フグタ君、わしはトローン事業の将来性に期待しており。そこで、トローン事業を子会社として独立させ、その社長を君に任せたいと思っている。やってくれるな。おい、聞いてるのか、フグタ君」
思いもよらぬオファーに言葉を失うマスオ。「は、はい、やらせて頂きます!」と返事をするのがやっとであった。
翌日から、新会社設立のための準備が始まった。まずは、新しいオフィス探しに着手すべく、総務部に相談した。総務部の仕事の範囲は非常に広い。他の管理部門が担当しないことに対応する、という言い方もできる。
企業によって業務内容が異なるが、例えば会社のオフィスを選んで、賃貸契約を結んだり、セキュリティ対応、オフィス内の備品(本棚とかコピー機とか)や消耗品(例えば名刺、文房具)の手配などを行なっている。
それから株主総会(会社の株を持っている人を集めて、会社の経営状態を説明したり、重要事項を決めてもらうための集まり)の運営も担当することが多い。
縁の下の力持ちなどと言われ、地味な部署に思われがちだが、他の管理部門と同様、会社にとって無くてはならない存在だ。
総務部に相談した結果、海山商事の豊洲オフィスに空いているスペースがあるので、そこを使わせてもらうことになった。
下見に向かう道すがら、マスオの頭の中は、やらなくてはならないことでいっぱいだ。
会社の設立手続きには法務部に色々と教えてもらう必要があるぞ。社内外から社員も集めるには、人事部の力が必要だ。必要資金の調達をどうするかは、財務部に相談だ。決算をしっかりやるために、経理部の人にも来てもらおう。
マスオの管理部門との絡みは、ますます増えそうだ。頑張れマスオ!
(完)
※このストーリーは会社というものを分かりやすく理解してもらうための私の全くの創作です。念のため。
ということで、書いているうちに楽しくなって、話がどんどん脱線しそうになるので、ここで強引に終わらせることにしよう(笑)。
代表的な管理部門としてどんな組織があり、どのような役割を果たしているか、ぼんやりとでも分かって頂けただろうか。
次の章では話題を会社という組織から会社員という個人に変えて、「仕事が出来るとはどういうこと?、勉強が出来るとはどう違うの?」といったことを考えてみたい。
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