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播磨陰陽師の独り言・第443話「MSX2のゲーム開発」

 一度だけ、MSX2用のゲームを作ったことがあります。あの頃はまだ、パソコンと言えばMSX2と言うほど全盛期でした。今では忘れられたパソコンで、覚えている人も少ないと思います。MSX2には色々なモードがあります。SCREEN8のモードで256色固定のゲームが走りました。
 ある時、企画会議で、
——MSX2のゲームを開発しよう。
 と言うことになり、『怒IKARI』を作りました。元々のオリジナルは私が開発したものなので、この時はチャンスとばかり、
——業務用では出来なかった部分を入れようと。
 と思いました。
 そこでどうすれば良いのかを考えて、敵の死体を残す仕様に変更しました。どうすれば良いのか……これはつまりデジタルで表現するためのアルゴリズムを考えたと言う意味です。
 スプライトが貧弱だったので、主人公のみに使い、敵の兵隊キャラはスプライトを表示するかのように、背景をちぎって使いました。だから死亡したら、その場所にキャラの破片が残せたのです。と言うか、無理矢理、兵隊を書き込んでいたため、死亡したら残骸が残ってしまったのです。ピンチでした、いくらプログラムを修正しても、残骸が残るのです。
 それで、
——残るなら、死体キャラを残そう。
 と言うことにして、何種類かの死体を表示しました。良く言われていますが、ピンチはチャンスです。それが良かったようです。かなり評価を得ました。たくさんの兵隊を打ち殺すと、そこら中に死体が残るのです。戦場ではそれが普通です。
 さて、MSX2の開発には、当然、マシンが必要でした。しかし、一度しか作らないMSX2だったので、会社が新しいマシンを買うことはありませんでした。しかし、どうしてもマシンが必要となって、私が個人で持っていたマシンを会社に貸し出しました。
 ゲームを開発するにはCPUを本体から抜いて、エミュレータを挿す必要があります。私物のMSX2にも同じ改造が施されました。
 ゲームのプログラムはエミュレータからコンピュータに転送されます。すると仮のプログラムが起動して、シミュレーション出来るのです。
 この時、アニメの動きを確認するため、いくつかのツールを自作しました。この時ほど、たくさんプログラムを書いたことはありませんでしたが……。

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