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播磨陰陽師の独り言・第442話「春の節分のこと」

 もうすぐ節分の季節です。
 節分は二月三日ですが、そうなったのは1985年からのことで、それ以前は閏年の二月四日でした。
 よく勘違いすることですが、節分はいわゆる〈五節句〉には入りません。
 五節句は年に五回あります。
 正月の七日が人日じんじつの節句。三月三日は上巳じょうしの節句。五月五日は端午の節句。七月七日は七夕で、九月九日は重陽ちょうようの節句になります。
 節分の方は年に四回あり、立春・立夏・立秋・立冬の各々の前日のことです。これらは二十四節気のひとつで、太陽暦では二月四日、五月五日、八月七日、十一月七日にあたります。この中で特に春の節分が重要らしく、古くからある『延喜式』と言う書物の中の最後のところに、安倍晴明公が作った節分祭文が書かれています。
 古くから、春の節分から新年と言う考え方があります。節分から翌日の立春の早朝にかけて〈立春大吉〉と書いた霊符を作り、玄関の表の左右に貼って祝いました。また、二月三日は赤穂浪士の命日にあたります。当家ではこの日が最も重要な日となります。
 さて、江戸時代の言葉に〈しあわせが悪い〉と言う言い方がありました。昔は、しあわせには〈良い・悪い〉の両方の表現がありました。今、〈しあわせ〉と言えば〈良い〉の方だけですね。漢字では〈四合わせ〉と書きました。こちらは四角い物の四隅よすみを合わせることです。合わせて良い感じなら〈しあわせが良い〉となり、悪ければ〈しあわせが悪い〉と言ったのです。四隅を合わせるのには風呂敷や折り紙を使いました。
 これは、自業自得ではない種類の不幸が起きている時、自身で確認するやり方のひとつです。自業自得の不幸の場合、考えれば理由や原因は分かります。そうではない場合にも不幸は起こります。確実に不幸と分かるものではなく、何となく不幸じみている出来事が起こることもあります。それはたとえば、家族全員が膝を擦りむくとか、つま先を何度も当てて怪我をするとか、繰り返して起こります。そのような場合は、折り紙などを折って、しあわせのチェックをすると良いと思います。もし、それでしあわせが悪ければ、休みをとって、落ち着けば元に戻ります。そんな時にこそ恵方巻きを食べると良いかも知れません。
 恵方巻きは、最近ではどこでもやっているようです。元々、恵方巻きは大阪のみの風習で、しかも、芸妓遊びのひとつでしかありませんでした。恵方巻きのおかげで海苔が大量に売れるようになったそうです。海苔成金が増えています。しかし、近年は海苔が不作で高騰が続いています。

 今夜も火曜日夜九時からクラブハウスによる配信があります。配信時間は一時間で、後半は質問やおしゃべりを楽しみます。朗読とそれに続く質問コーナーは『陰陽師の嫁/W&M Club』で……では、よろしくお願いいたします。

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