近世百物語・第九十五夜「手形足形」
何度か、ガラスに付いた凍った手形を見たことがあります。ある夏の暑い夜のことです。飲み物を飲みほして、しばらくそのままにしていたコップが、テーブルの上でピキッと音を立てました。気付いてコップを見ると、向こう側から誰かが触ったような手の跡がありました。それは子供の手のような、とても小さなサイズでしたが、ガラスの表面に凍りついていました。
これもまた、別な真夏のある時の出来事です。あまりの寝苦しさに、夜中に目覚めてカーテンを開けました。クーラーのスリープ・タイマーが終わって気