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大学入試、推薦入試にまで広がる「子どもの商品化」の闇

中国では学習塾への厳しい規制が敷かれました。
既存の学習塾すべてを非営利組織にするというもの。営利目的で学習塾経営ができなくなった、ということですね。

すごい思い切ったな、と思います。超巨大市場やったのに抑えつけてしまって、経済が滞ったりせーへんのかな、税収が減ったりせーへんのかな…と心配になります。

同業者の何人かにこの話をすると
「さすが中国、やることが極端」と批判的でした。

でも今回の中国の施策、
ぼくの目には好意的に映りました。それは

「子どもの商品化」にある程度の歯止めがかかったからです。



◆ 推薦入試実施の意義


お話を日本に戻しますね。

「勉強は公平な評価を得られる最たる機会」
「社会に出たら不公平なんていっぱいあるぞ」

って言われながらぼくは高校時代を過ごしました。
当時、ビジネス本の1冊も読まない先生たちには徹頭徹尾、反発していましたが・・・w


確かに勉強は「比較的」公平なものです。相対的に見ればまあ、公平な方かな、という程度。

だって学力は親の年収にある程度比例しますから、悲しいけれど。

お金持ちの家に育った子は教育にお金をたくさん使ってもらえますから、自然賢くなるもんです。

しかし能力というのは、学力だけで測れるものではありません。だから学力以外の能力を問う推薦入試が取り沙汰されているわけですね。

学力以外の能力や才能、可能性を測るべく、

AO入試(現在の総合型選抜)が私立を中心に始まったのです。

学生時代に打ち込んだことやその成果、将来への展望をアピールして合否を判定するというもの。

小論文や面接、プレゼンテーション、ディスカッション、講義レポート等、試験スタイルは様々です。


この入試があれば、経済格差もひっくり返せる!
と思ったのもつかの間、今度は
AO入試専門塾が間もなく登場。

入学金が5万円。
週1回授業のお月謝が10万円弱。
提出物作成サポートが12万円。
面接対策が10万円。

・・・えっと、高くないですか?

ぼくの妹もAO入試専門塾で学生起業したのであまり悪口は言いたくないですが、

これでは経済格差に拍車がかかってしまいます!!



◆ 商品化の結果がもたらしたもの


AO入試(総合型選抜)で大学に入るには、
他の受験生よりもずっと

早くから自らの将来を見据えなければなりません。


自分の生い立ちや様々な経験から感じ取ったミッションを解決したい、野望を叶えたいという思いが強く、それをはっきりと思い描いて、大学側に効果的にアピールできた者が合格を勝ち取っていく。

でもこれって、大人が子どもに

いくらでもドーピングできますよね?


小手先のテクニックで推薦に受かってしまった子たちが、本当に良い将来を築いていけるのか、大学にとって一般入試合格者枠を削ってまで入学させた意義はあるのか、はなはだ疑問です。


ぼくも高等部で総合型選抜対策を行っていますが

一円もお金を取ったことはありません。

うちに通塾さえしていれば、
自習室が使える、進路相談ができる、
と同列なんです。w

ただし総合型選抜に見合うだけのバックボーンを持っている生徒に、ぼくからアプローチをして、
生徒が承諾したときのみ発生するサービスで、誰もかれもが受けられるというわけではありません。

当然、勉強外でのハイレベルなものを要求していくので、ドロップアウトしてしまう子もいます。

でもぼくの要求に食らいついてきた子たちは過去10年間、全員が第一志望に合格していきました。


だから推薦入試対策は無料であるべき!とは言いませんが、推薦入試までもが

お金を積んだ分だけ有利になってしまう状況というのが悲しいです。



◆ 格差を埋めるには


残念ながら、高額なお金を出して推薦入試に受からせたいという親御さん方が一定数いらっしゃる以上、
ぼく一人の力ではどうしようもありません。

お金の使い道は、その人の自由です。
お商売の仕方もまた、自由です。

だから起業して

「公教育に首を突っ込んでいこう!」
と決意しました。


学校の先生の手に負えないのはわかります。
今以上に仕事が増えるのはちょっと、ね・・・

お仕事の構想は練りあがってきました。
あとは協業してくれる懐の深い学校さまに出会うのみです。

都市部もいいですが、できれば地方がいいなあ。
そうやないと、また都会と地方で格差が開いてしまう。


中国の学習塾規制は、都市と地方の経済・教育格差にも大きな原因があるのです。
明日は我が身、ですぜ。


日本にあまねく学生たちに、
できるだけ等しく進学のチャンスを。

そうやって加速していく日本を、
生きているうちに見てみたいなあ。

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