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犯罪者のルールを考える

犯罪者が常に有利なのは自分のルールで動いているからです。
一般社会のルールに縛られてはいません。

我々が法律を守っていても、犯罪者は法律を守らずに自由に動けます。また加害者が自分のタイミングで犯罪を犯すのに対して、被害者は常に受け身な状態で犯罪に巻き込まれます。急に襲われるので対応が遅れるわけです。

この対応の遅れには3つの要素があって、
 1.突然襲われるので対処が遅れる
 2.どこまで反撃して良いか迷って対応が遅れる
 3.どう対応すれば良いか考えて対応が遅れる

普通の人は、この3つ全ての対応が遅れて被害が拡大していきます。
この3つを事前回避するためにできる対策は、それぞれ、
 1.五感に引っかかる違和感をスルーしないこと
 2.自分なりの反撃ルールを決めておくこと
 3.反撃方針を決めておくこと

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「1.違和感をスルーしない」については常に五感が使える状態にしておき、周りに向かってアンテナを張り巡らせておくことです。
歩きスマホは五感のうち視覚を遮断します。イヤホンは聴覚を遮断します。残っているのは嗅覚と味覚と触覚。これだけの感覚では事前察知できません。
「アンテナを張り巡らす」とは抽象的な言い方ですが、後述する犯罪者対応シミュレーションを繰り返すことでアンテナ感度が磨かれます。

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「2.反撃ルール」については、どこまでやるか覚悟を決めておくという事です。
スポーツや格闘技をやっている人にとっては「相手はルールを守る」という事が体に染み付いており、それが自分で自分の行動を縛る不利なルールになってしまいます。なので、予め自分ルールを決めておく。

犯罪者に対する際には、自分は2つの立場を兼任しなければなりません。
いわば選手としての自分と、審判としての自分です。
つまり審判ルールは自分で作ります。

現時点で私が自分で決めているルールは以下のようなもので、非常時に心のブレーキを外すための条件です。

反撃の開始条件(試合開始ゴング)
 ・相手が攻撃の意図を明確に持っていると自分が判断し、
   ・手が届く範囲まで近づいて威嚇してきた時
   ・相手が持っている武器が届く位置まで近づいた時
    ※複数相手でも条件は同じ
反撃の停止条件(試合終了ゴング)
 ・相手の視界から自分が消えた時点
反撃の限界条件(試合ルール)
 ・相手の視覚を遮断することは徹底的にやって良い
 ・相手を立てなくすることは徹底的にやって良い
 ・頭部打撃、首への攻撃は最低限(生死に関わるので)

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「3.反撃方針」は「2.反撃ルール」を実際に行う際の具体的でシンプルな方法です。
 ・相手の目に「何か」をぶつける(自分の手でもOK)
 ・相手の足に「何か」をぶつける(自分の蹴りでもOK)

私はコンビニなどで他の客を犯罪者に見立てて、上記の「何か」に相当する商品を探すシミュレーションを行っています。どの商品を武器として使えば良いかを考えるわけです。電車、ショッピングモール、トイレ、銭湯などでもこのシミュレーションを行っています。

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上記の心掛けに加えてもうひとつ、非常に大切なのは「自分が稽古している武道や護身術にも暗黙のルールがある」という事を認識することです。意識せず稽古していると、暗黙のルールに依存した考え方になってしまいます。これが危険。

「相手をうつ伏せにして固め技で抑え込みます」という技を練習するのは良いのですが、果たしてそれで本当に相手を動けない状態にできたのか。稽古相手が忖度して動けないフリをしてくれている事が大半でしょう。

私は柔術の先輩に投げられて抑え込まれた状態から、ムリヤリ相手に絡みついて立ち上がり、先輩を抑え込んだ事があります。これも「動けないフリ」をする事が日常的になっていたから先輩の心に油断ができていたためです。

「相手はまだ活きている」
そういう意識「残心」があれば、そこからの対応方法を工夫する事ができます。これは「想定外を見ないようにしている心」を解放しているということです。

「考えすぎだ」と私はよく言われますが、考えておいた事が起こらないのであれば、それはそれで良いではないですか。

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