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僕らは複雑なままでいい

『ゆるやかに、深く繋がること』を大切にしたいと、僕は思っている。

そのために僕らが大事にすべきことは、いったい何だろうか?

「自分はどんな個性を持っているのか?」
「自分は何をしている人なのか?」

自分という人間を、簡潔に伝えること、分かりやすく伝えることは、相手への優しさになりうる。

例えば「酒好き」「フットワークが軽い」「ポンコツ」などなど、そのワードを聞いただけでイメージを共有することができるキャラクター(個性)があると、お互いを知り合いやすい。

・・・ただし、僕らのリアルな個性は、もっともっと複雑だ。

『分かり易さ』は、理解を深めるための入り口にすぎない。

自分という複雑な人間性を相手に伝えるために、分かり易さを追求することは、優しい営みだ。

けれど、受け取った人がもしも、その易きに流されて相手のことを理解した気になってしまえば、それは途端に厳しさへと変わってしまう。

今の自分が持っている「こうゆう人ってこうだよね〜」という知識だけで…

今までに会ったことのある人と似たような一面を、目の前の相手に重ねるだけで…

それだけでは、繋がりは深まらない。

新たに出逢った人の個性を、その真新しさを、自ら仕入れようとすることを忘れてしまえば、それは自分に優しいだけで終わってしまう。

それでは、「分かり易く伝えて差し上げよう」という相手の心意気を、無下にしてしまうことにもなりかねない。

・・・僕らは、複雑なままでいいんだ。

複雑なことを、複雑なまま受け入れることができて初めて、自分や相手のことをより深く理解することができるのだから。

今まで学んできたことを一旦忘れて、新たに学び直そう!というその心意気こそが、相手を受け入れるという営みであり、愛のある姿勢だと僕は思う。

僕らが自分のことを分かり易く伝えるようとするのは『相手への優しさ』であり、『自分が好かれたいから』という理由ではないはず。

『自分が嫌われたくないから』という理由ではないはず。

そうだろう??

もしも『自分が嫌われたくないから』という理由で、「自分はどうせポンコツなんで…アホなんで…」という自己紹介をしていたとしたら、それは自らを偽っているから、いずれはその易さに呑み込まれてしまう。

自分の表と裏を行ったりきたりして、自分の本質を見失ってしまうだろう。

・・・だからこそ、僕らは自分の中にある複雑性を大切にしなければいけないんだ。

せっかく優しい気持ちがあるのに、自分の中にある複雑さを伝え続けることを怠ってしまえば、自分で自分を肯定できなくなってしまうから。

表を偽るから、「実はこんな裏があるのでは?」と勘ぐられてしまう。

表を正直に見せれば 、己の真心に従えば、通じあった人には、奥を覗き込んでもらえるはずだ。

自分という人間には、表と裏があるわけではなく、表と奥があるだけ。

・・・裏とは、相手がコチラに対して何らかの疑いを抱いた時に、探りたくなるものだ。

どれだけ裏を探ってもらったとしても、きっとその人は、相手自身の主観しか見ていなくて、コチラの"奥"を探ってくれることはない。

より深く知ろうとしてくれることも、理解を深めようとしてくれることもないだろう。

その人は、自分という人間を依怙贔屓したいだけで、コチラを依怙贔屓してくれるわけでは、決してないからだ。

依怙贔屓とは、「奥をもっと辿りたい」という欲求だと思う。

きっと、そうして辿っていった先には、自分自身のことをより深く知るための手がかりが隠れているんだと、無意識に勘づいているから。

相手とより深い関係を築くことで、自分自身をより深く知ることができるから。

その一方で、誰かの裏を探りたいと思っている人は、普段から自分を偽っていて、自分の奥を見失っているだけなんだ。

・・・つまりその人は、自分という人間をよく分かっていないだけ。

自分で自分を依怙贔屓して、自分だけを特別扱いして、周りの人を大切にしようとせず、誰かから依怙贔屓してもらいたいだけなんだよ。

・・・だけど僕らは、自分以外の誰かのことを他とは違う例外的な存在として想えるはずだし、その想いが自らを強くしていくはずなんだ。

自分だけではできないことなんて、山ほどあるのだから。

自分のことを依怙贔屓するという営みは、自らの意志とは関係なしに、本能のまま、自然とやってしまうことだ。

だからこそ僕らは、本能に抗い、自らの意志で「この人を依怙贔屓するぞ!」と決めて、他者を大切にしなければいけない。

その依怙贔屓こそ、「あなたがいい!」と、その相手を選んだ『自らの偏愛』だから。

こうした愛のある姿勢は、自分のことも、他者のことも、幸せにしていくんだと僕は思う。

・・・読んで頂きありがとうございました(*^^*)

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【軟水のたそがれ】
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このnoteは筆者の思想を深堀りするエッセイです。
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ゆらりときらめく水鏡のように
他者の魅力を鮮やかに彩る存在でありたい


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